医療・看護

2015年5月28日

【声明2015.05.27】参議院本会議の「医療保険制度改革関連法」の成立に断固抗議する

2015年5月27日
全日本民主医療機関連合会
会長 藤末 衛

 5月27日、参議院本会議において「医療保険制度改革関連法」(「持続可能な医療保険制度等を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」)が成立した。国民皆保険制度に大穴をあけ、医療の市場化を加速させるこの法律に断固抗議する。

 この「法改正」の問題点の第一は、国民健康保険の財政運営を都道府県に移すことによって、国保料がさらなる上昇を招くことである。今でも高すぎる保険料のため保険証の取り上げなど事実上の無保険者もいる中で、国保加入者がまともに医療を受けることができない状況がさらに広がる恐れがある。すでに医療費の目標を決める「医療費適正化計画」と、病床を削減する「地域医療構想」の仕組みが実行されているが、国保の運営主体も都道府県となることで、都道府県を司令塔にした強力な給付費削減がおこなわれ、地域医療の崩壊が進む。
 第二に協会けんぽの国庫補助削減によって,中小企業の運営に大きな打撃をあたえる。消費税増税やリーマンショックによって経営が相当厳しくなっている中小企業に、さらなる負担となる。
 第三に入院給食費の段階的引き上げや紹介状なしの大病院受診時の定額負担、後期高齢者医療制度の保険料の特例軽減の廃止などにより患者負担をさらに増やし、受診抑制と重症化をもたらす。
 第四に患者申し出療養制度について安全性や有効性の審査期間が短く、「本当に患者の安全性が守られるのか」、「保険のきかない医療が滞留するのではないか」などの懸念の声が参考人からも多数あがったが十分審議されなかった。医療の安全性よりも医療メーカーや製薬会社のもうけを優先し、患者に対しては医療の自己責任を強要するこの制度は、混合診療の全面解禁をねらった改悪であることは明らかである。

 この法律は、社会保障削減路線の下、保険者・自治体を医療費削減にかりたて、患者の負担増と医療の規制緩和をすすめるもので、「持続可能」をうたっているはずの国民皆保険制度を土台からほりくずすものである。

 全日本民医連は憲法25条に基づき、いつでもどこでも誰もが安心して医療にかかることができる人権としての社会保障を実現する医療保険制度の構築を強く求めるとともに、引き続き社会保障切り捨て政治に対して広範な人々とたたかいに奮闘する決意である。

以上

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