介護・福祉

2015年10月6日

私のお仕事 臨床工学技士

 多彩な職種が働く民医連事業所。それぞれが専門性ややりがいを語る連載。23回目は臨床工学技士です。

 臨床工学技士(Clinical Engineering Technologist:以下CE)は、チーム医療が重視される医療業界の中で、唯一の医療機器専門職です。
 十数年前には集中治療室でしか使われなかった機器が、今では一般病棟でも普通に使われています。医療機器トラブルが発生した時「ちょっと機械の調子が悪いみたいですね…」では済まされません。医療機器に関する課題を解決し、チームがパフォーマンスを発揮するために、私たちCEがいます。

■技術はもちろん、経営面にも気を配る

 CEの仕事は透析業務や人工心肺業務が知られていますが、私は主に機器管理を担当しています。定期点検や故障・修理の対応、新旧機器の更新や、スタッフへの指導などを行っています。
 機器のメンテナンスを行う中で、医療機器の向こう側には患者さんがいることを私たちはいつも意識しています。そこがメーカー技術者とCEの大きな違いだと考えています。
 差額ベッド代をとっていない私たちの施設では、医療機器管理にかかるコストも最小限に絞り込む必要があります。極限まで効率化に挑み、アイデアを絞り出さなければなりません。
 そうして生まれたのが、医療機器のメンテナンスを完璧に管理する自作アプリです。市販品を購入すると300万円以上しますが、自作したのでタダ。おかげで、点検や部品交換のタイミング、壊れやすい機器の傾向が把握でき、機器管理のアウトカムが出ています。

■在宅でも、安全な生活の手助けを

 今、最も大切にしているのが、在宅人工呼吸器患者さんとの関わりです。限られた時間ですが定期的に訪問して、緊急時の蘇生バッグの使い方の練習や警報の発生具合を検証し、ご家族や在宅チームの話も聞きます。そこで分かったのは、何年経っても「機器トラブル」が最も不安だということ。しかし、CEが在宅に関わることに対する診療報酬はなく、全国的にCEが在宅に関わりきれていないのが現状です。CEが病院の機器に関わり少しずつ安全になっていったように、在宅にも積極的に関わり、安心安全な生活の手助けをしていきたいものです。
 今こそ、在宅医療に強い民医連のCEが実績を重ね、活動の成果をアピールし、日本の在宅医療を変えるような動きを民医連から発信していけたらと思っています。民医連で活躍しているCEの皆さん、共にがんばりましょう。

(兵庫県・東神戸病院 島田尚哉)

(民医連新聞 第1605号 2015年10月5日)

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