くすりの話

2000年3月1日

くすりの話 36 身近にある副作用

■かぜ薬で尿が出にくくなった
前立腺肥大症の既往がある70歳のOさん(男性)。かぜ症状で受診し、抗生物質と総合感冒薬が出されました。4日後、Oさんは「尿が出にくくなった」と再受診。尿の出をよくする薬をもらい、数日で快復しました。
かぜ薬のなかの抗ヒスタミン剤は鼻水を抑える作用がありますが、同時に尿の排出を抑える作用ももっています。同じような副作用は、胃腸の痛み止めでもおこることがあります。

■高血圧の薬で激しい咳
高血圧のため、ACE阻害薬(商品名レニベースなど。血圧を下げる薬)が処方された69 歳のTさん(女性)。3カ月後に受診したときには、「しばらく前から咳が続いている。きょうはのどが苦しい」と訴えました。ACE阻害薬を中止し、Ca拮 抗剤(商品名アダラートLなど。これも血圧を下げる薬)に変更すると、1カ月後には、のどの違和感は少し残るものの、咳は治まっていました。
ACE阻害薬は血圧を上げる物質を減らすと同時に、ブラジキニンという、咳を引き起こす物質を体内でふやす作用ももっています。そのためおこった副作用です。

■三叉神経痛の薬で眼の痛みが
三叉神経痛のため受診した51歳のKさん(女性)。カルバマゼピン(商品名テグレトー ル)という薬が処方されたが、翌日、眼が痛み眼科を受診。これまで緑内障と診断されたことのないKさんでしたが、その眼科では「眼内圧が高くなるタイプの 緑内障」と診断され、薬の副作用で眼圧が高くなったことがわかりました。治療を始めると眼の痛みは治まっていきました。
三叉神経痛の薬をカルバマゼピンから他の薬に変えると、神経痛も改善していきました。

カルバマゼピンは三叉神経痛の治療のほかに、てんかんやけいれんにも使う薬です。眼内圧を上げる副作用は、鼻水や鼻炎に使う抗ヒスタミン剤や腹痛に使う薬、抗うつ剤、ステロイドなどにもあります。

■抗生物質で下痢
上気道炎のため抗生物質と感冒薬が出された1歳の女の子。翌日、下痢があるとのことで整腸剤(乳酸菌製剤)を加えると、下痢はすぐによくなりました
抗生物質は、悪い細菌を殺しますが、腸のなかにいる食べ物の消化に必要な細菌(善玉菌)まで殺してしまいます。抗生物質の中止や整腸剤の追加ですぐ改善します。
このように、薬にはじつにさまざまな副作用があります。少しでも「変だな」と思う症状があらわれたら、医師や薬剤師にかならず相談してください。

いつでも元気 2000.3 No.101

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