介護・福祉

2016年7月5日

相談室日誌 連載412 Aくん親子を誰がささえる?切れ目ない支援を(宮崎)

  Aくんは、母親と兄弟二人と暮らす中学生です。吐き気と頭痛で当院に入院し、小児科医から「母親の相談にのってほしい」と相談室に依頼が入りました。
 Aくんは、通っていた小学校とは別の地区の中学校に通うことになり、入学後、不登校になりました。二年生になってから特別支援学級に入ることになりましたが、そこにもなかなか通えていませんでした。
 翌年に高校進学を控え、支援学校の高等部に進学を希望していました。しかしAくんは、進学がかかった試験に行けるかどうかも分かりません。「居場所がなくなってしまう」と、お母さんは涙ながらに訴えました。また、Aくんとどう接していいか分からないことにも悩んでいるようでした。学校から家庭に連絡が入るのは学期初めと学期終わり程度だといいます。母親は以前、Aくんのことを相談するために行政の窓口にも行ってみたそうですが、相談には乗ってもらえず、それ以来どこにも相談できずにいた、と話しました。
 SWはAくんの病室を毎日訪問しました。最初はひとことも話さなかったAくんも、日を重ねるごとにうちとけ、趣味や熱中していることなどを色々話してくれるようになりました。
 並行して、Aくんとお母さんが相談できる場所や人、利用できるサービス探しも開始しました。まず行政に連絡しましたが、受け皿はなく行き着いた先は障がい者総合サポートセンターでした。センターでは相談員から今後のAくんへのサポート体制や使えるサービスの提案があっただけでなく、病院に足を運び、母親の面談も行いました。
 相談できる場所が一つ増えた事で、母親も「安心した」と言っていました。Aくんは、高校にも合格し、いま週に二、三回ですが通学しています。診察で来院した時には自分のことを少しずつ話すようにもなりました。
 今後は学校や、障がい者サポートセンターと連携し、フォーマルとインフォーマルの支援を組み合わせながら、切れ目ない支援ができるよう関係をつくっていきたいと考えています。

(民医連新聞 第1623号 2016年7月4日)

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