Dr.小池の世直し奮戦記

2016年7月30日

Dr.小池の世直し奮戦記 日本で実現したい世界の常識 映画「世界侵略のススメ」を観て

 全国で公開中の映画「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」を観ました。アメリカの医療制度の闇を描いて大評判になった「シッコ」に続く、マイケル・ムーア監督の最新作です。
 映画の設定は、マイケル・ムーア監督がアメリカ国防総省の“指令”を受けて世界をまわり、各国の“ジョーシキ”を根こそぎ“侵略”して、母国アメリカに持ち帰るというもの。ジョークに満ち溢れたドキュメンタリーです。
 びっくりするのは、その「世界の常識」の数々です。

「世界の常識」にびっくり

 たとえば、映画で紹介されるドイツの労働条件はどうか。
 一週間の労働時間は三六時間で、労働者は午後二時には帰宅する。会社の役員の半分は従業員から選出しなければならない。従業員の退社後に上司はメールを送ってはならず、従業員のプライベートな時間に電話連絡をしてはならない。職場はストレスの温床とされ、ストレス過多の社員は処方箋をもらえ、無料の温泉(スパ)に三週間滞在できる…。
 ため息の出るような話です。
 フランスの学校給食にもびっくりしました。
 毎回、デザート、チーズつきのフルコースの食事が提供され、給食室の冷蔵庫には何種類ものチーズが常備されています、食器はすべてきれいな陶器を使用し、食事も教育の一部として重視されています。
 マイケル・ムーア監督がフランスの子どもたちに、ひとつの皿に盛られたアメリカの給食の写真を見せる場面。子どもたちはいっせいに顔をしかめ、「これが食べ物?」と驚きます。健康に良くないといわれるポテトの「フレンチフライ」が、フランスではほとんど食べられていないというオチもつきます。

個人の権利に対する向きあい方

 映画には、ノルウェーの刑務所も登場します。いわゆる「牢屋」のつくりではなく、広い敷地に点在する一軒家です。受刑者は施設の中では自由に暮らしており、選挙では投票もできます。
 刑務所はあくまで、社会復帰のための施設と考えられているのです。死刑制度もありません。ノルウェーが世界で最も再犯率が低いことも紹介されます。
 学力世界一のフィンランドはどうか。授業は週二〇時間とヨーロッパ最短。「宿題」という制度はなく、統一テストも廃止されました。
 授業時間を減らしたら学力が伸び、多くの生徒が三カ国語以上の言語を使いこなします。所得に関係なく平等に教育が受けられるように、ほとんどが公立校であることも紹介されます。

ふりかえって日本は?

 参院選で日本共産党はブラック企業根絶や最低賃金アップ、非正規雇用を広げる労働法制の改悪反対などを訴えました。異常な長時間労働や正規雇用と非正規雇用の極端な賃金格差など、日本の常識は世界の非常識でもあります。
 映画では、アメリカから来たマイケル・ムーアが、世界の常識に驚愕し続けるのですが、これは日本から見ても同じです。日本こそ、世界の常識を学び、持ち帰らねばならないことばかりです。


 監督・製作・脚本 マイケル・ムーア
配給 KADOKAWA
公式サイト http://sekai-shinryaku.jp
原題 WHERE TO INVADE NEXT
2015年/アメリカ/119分
●全国で公開中

いつでも元気 2016.8 No.298

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