いつでも元気

2016年10月31日

巻頭エッセイ 地域おこしから人おこし 藤井裕也 山村エンタープライズ代表

Profile 藤井裕也(ふじい・ひろや) 1986年、岡山市生まれ。NPO法人山村エンタープライズ代表理事。総務省地域おこし協力隊サポートデスク上級専門相談員。HPはsanson.asiaで検索。Facebookで活動報告を更新中

Profile 藤井裕也(ふじい・ひろや) 1986年、岡山市生まれ。NPO法人山村エンタープライズ代表理事。総務省地域おこし協力隊サポートデスク上級専門相談員。HPはsanson.asiaで検索。Facebookで活動報告を更新中

 「中山間地域はまさにフロンティア、みんなで会社を作ったら面白いよね」―。10年ほど前、仲間たちとお酒を飲みながら半分冗談に夢を語り合った。
 現在、私はNPO法人山村エンタープライズという団体を作り、岡山県美作市の山奥で「人おこし」の事業を展開している。地域のアルバイトの若者や高齢者の支援、耕作放棄地や空き家の活用、コミュニティービジネスなど、地域おこしの分野で培われてきた活動と若者自立支援を組み合わせた事業だ。
 人とのかかわりを避け、ひきこもり状態にある若者は多くいる。農山村のポテンシャルを活かして彼らを受け入れ、孤立を防ぎ、自立するきっかけと環境を提供している。目指すのは、あらゆる若者が希望をもって生き生きと暮らせる地域づくりだ。
 私は小中学生の頃、いじめられている子どもがいると休み時間に一緒に遊び、いじめている子どもには無言で抵抗していた。大学生の頃にはフィリピンの都市部で貧困状態の若者を見てなんとかしたいと思い、「貧困の解消は教育から」と学校建設に挑戦した。
 社会人になってからは、過疎高齢化が進む中山間地域の状況が気にかかり、岡山県の北端部の集落で「地域おこし協力隊」として活動を始めた。振り返ると「社会的な弱者」に対する視点はいつも自分の中にあった。
 「いいと思うことは、失敗してもいいから生きている間にやろう」。「自分から地域や社会を変えていこう」。
 そういう生き方を未来の若者に残したいと思う。
 私たちの住む日本は人口減少期に入り、少子高齢化と過疎化に伴う様々な課題が顕在化した。従来のやり方では解決できないような課題も多くあり、分野横断的な新しい取り組みが求められている。
 山村エンタープライズは、地域おこし協力隊の卒業生がメンバーだ。地域の最大の資源は人。時代が変化する時、人づくりが次の時代を決める。日本は資源がない中、人材という資源で生き残ってきた国だ。地域の課題を解決する人を育てていくことが今、求められている。

※地域おこし協力隊
地方自治体が募集し、地域おこしや地域の暮らしなどに興味がある都市部の住民を受け入れて地域おこし協力隊員として委嘱する。総務省が2009年に制定。全国673の自治体で2625人の隊員が活躍している(2015年)

いつでも元気 2016.11 No.301

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