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2016年11月22日

相談室日誌 連載418 利用料が大幅に増えた夫婦「特例措置」を使えるものに(岡山)

 Aさん(八一歳)、とその妻のBさん(八〇歳)は、家族からの虐待(ネグレクト)の発覚を機に、二〇一一年末に当施設に措置入所したご夫婦です。
 夫婦には成年後見人がついています。今年四月に当施設は建て替え移設と同時に、多床室から全室個室になりました。夫妻も引っ越し、施設に慣れた七月頃、成年後見人から利用料の問題で相談がありました。財産管理を夫婦別々に行い、妻の利用料で不足した分を夫の貯蓄から補填する形でやりくりしていましたが、貯蓄の残高が少なくなり、今後の利用料の支払いが難しい、という話でした。
 たび重なる法改正で、入所当時からすると夫婦の利用料は一カ月で計約一八万円も負担増になっていました。移設前には何度か居室代の変更について相談員から説明し、了承の上で再契約したものの、まさかここまで負担が増えるとは予想しなかった、とのことでした。
 成年後見人には様々な制度を知らせ、介護保険課にも掛け合いましたが、打開策は見つからず、個室より安い多床室の施設へ移る話も出ました。しかし、夫婦共に帰宅願望や介護拒否、大声などを発していた状態から、二年以上の時間をかけて人や環境に慣れ、やっと落ち着いて生活できるようになった今、施設を変更する選択は考えられませんでした。
 そんな中、介護保険制度に「課税世帯における特例減額措置」という制度があることを知り、成年後見人に問い合わせると、該当する可能性が出てきました。岡山市に相談した時は、紹介されなかった制度でしたが、申請してみると該当し、居室代が減額され、利用料が夫婦の所得内に収まりました。これは市で初の事例となりました。
 介護保険の見直しで、生活困窮状態に陥った利用者は多く、特例措置は設けてあるものの、制度の周知も認知度もあまりに低く、ほとんど活用されていない実態がありました。
 この事例紹介を機に、この制度が広く認知され、必要な人に適切に助成が利用されることを、切に願います。

(民医連新聞 第1632号 2016年11月21日)

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