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連載 安全・安心の医療をもとめて(56)

回復期リハビリテーション病棟での排泄と転倒・骨折防止(第1回)

「自立重視型排泄アプローチ」の実践

(長野中央病院 中野友貴リハビリテーション科医師)

 『民医連新聞』(七月二日号)の「回復期リハビリテーション病棟での転倒・骨折事故予防(第二回)」で水尻強志医師が紹介していた、排泄に関する対策を中野友貴医師の寄稿で連載します。

 脳卒中患者さんのリハビリを目的にする病棟をオープンしたのは二七年前。集まってくる脳卒中の患者さんは、起きることも立つこともできない人が多く、何より排泄の介助が大仕事でした。「排泄が自立すれば自宅に退院できる、何とか排泄を自立させたい」と病棟、リハビリスタッフとともにチームでいろいろ工夫を重ねました。

ちあがり訓練で体力

 その工夫の第一は、排泄動作には体力が重要で、脳卒中患者の体力づくりには、立ちあがり訓練の繰り返しが有効だということでした。立ちあがり訓練(図1)は、回復期リハビリ病棟ではもちろん、在宅でも、老健やデイケアでも続けられます。訓練の中心になりました。

ポータブルトイレ常設

 第二に、オムツを減らさない限り、排泄の自立はできません。うまくオムツ以外に排泄することを繰り返すには、排尿便両方が可能なポータブルトイレへの誘導は欠かせません。使いやすいポータブルトイレを常に使える状態にしておくことが必要です。

移乗用手すりの設置

 第三に、ベッドとポータブルトイレの間の移動には、動かない手すりを握ることが有効でした。ベッドから張り出した移乗用手すりは、どの患者さんにとっても、立ちあがりを楽にし、動作の恐怖感をなくし、移乗の条件をつくるカギです。
 安価で簡単に利用できる移乗用手すりをつくり、必要な人みんなが使えるように、移乗用手すりの「らくらく手すり」、そして、転倒防止効果の強い「スーパーらくらく手すり」(図2)を開発し使いはじめました。
 患側を使える人も、重度麻痺の人も、移乗動作が軽介助になったら設置しました。移乗自立と転倒防止に有効でした。
 現在、回復期リハビリ病棟に入院している患者さんの六〇%が「スーパーらくらく手すり」を、三三%が「らくらく手すり」を使っています。

男女で同じプログラム

 第四に、移乗動作は男女の差なく必要な動作です。ベッドの移乗用手すりをたくさん設置してから、男性も尿瓶を止め、はじめからポータブルトイレに移乗する方法に変えていきました。
 排泄についてのとりくみが、男女ともに同じプログラムですすむことになりました。

車イストイレへ挑戦

 第五に、車イスへの移乗ができたら、車イストイレに挑戦します。従来型の車イストイレは、立ってから回旋する角度が大きく、使いにくい。そこで回旋角度が少なくてすむ「前手すり型車イストイレ」(図3)を考案。老健とリニューアルした回復期リハビリ病棟に設置しました。ほとんどの患者さんが従来型より使いやすいとのべ、実用性と有効性が確かめられています。
 カタログ請求は長野県事業協へ (TEL:0263―78―7600 FAX:0263―78―7601)。

 

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