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民医連新聞2012年1月2日/1515号
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インタビュー

俳優 山本太郎さん

“脱原発”は生きるための明るい活動です

 東京電力の福島第一原発事故をきっかけに、原発の問題に気づき反対の声を上げ始めた人は少なくありません。その中の一人が俳優の山本太郎さんです。脱原発を表明し、各地のアクションに参加するなど精力的に活動中です。原発の是非を問う市民グループ「みんなで決めよう『原発』国民投票プロジェクト」の中心メンバーでもあります。山本さんに活動の動機を聞きました。(矢作史考記者)

自分にも腹が立ち

 公然と脱原発を発言するようになったのは三月一一日がきっかけです。僕は「にわか原発ヤロー」なんです(笑)。
 それまでも環境問題の活動団体などに寄付するなど、陰ながら応援してきました。行動にうって出たのは無知だった自分への怒りと、「生きたい」という「究極のエゴ」からでした。
  いつも使っていた電気で福島の人や、日本全体に被害が及んで、知らない間に自分が加害者になっていました。核廃棄物は何百年、何万年もたたないと処理できないもの。持続可能なエネルギーではないのです。原発があるということは、常に人間の命が脅かされているという状況です。
 世の中に利権を握っている人がこんなにいたのかとも思いました。原発事故は、一企業の行き過ぎた利益追求のために、安全性を度外視して作り出したもの。だから声を上げていかないとダメだと感じたんです。しかもいまは、原発が無くても生活できることがはっきりしています。

まるで「棄民」

 福島の人たちに対する政府のやり方は、まるで棄民です。
 たとえば一年間に浴びてもいい放射能の値を、一ミリシーベルトから二〇ミリシーベルトにするなんて、暫定的な措置だといっても人間のすることではないと思います。
 福島には、放射能の影響が心配で自主避難をしたくても、経済的な理由でできない人がいます。国がフォローをしないので、避難を選択することさえもできないのです。
 花粉や黄砂の飛散は予測できるのに、事故後すぐに放射性物質の飛散情報を公表しなかったのも問題です。大事な情報を公表しないなら、政府機関の存在する意味があるのでしょうか。政府は国民が最低限生きられるようにする義務があるのに「今の日本は国家と言えるのか」と思います。

子どもたちから奪うな

 放射能がまず奪うのが、子どもたちの自由。福島に住んでいる子どもは外で遊ぶ自由も奪われています。
 子ども時代は色々な体験をし、吸収して人間の土台を作るキラキラした大事な時期です。僕の子ども時代を思い返すと、大雨が降ると、溝で水遊びをしていたものです。でも、今それをやると被曝の心配があるでしょう。大人になる前に健康被害が出たりでもしたら、恋することだってできないかもしれない。
 この福島で起こっている不条理は、原発がある限り、日本に住んでいる人、全員に起きる可能性があります。だから日本中の人たちに自分の問題として考えてほしいのです。

原発はタブーだが

 テレビ業界で脱原発を表明するのはタブーでしたから、不安はありました。僕の発言がきっかけでドラマの仕事を降ろされ、迷惑をかけたくなくて、所属していた事務所も辞めました。
 僕にも、「いい俳優になりたい」という夢はあります。でも、そのためには明日も明後日も生きられる状況にしなきゃだめですよね。
 原発が動いているという現実を無視しながら続ける生活は「砂上の楼閣」でしかないと思うのです。
 最低限、「生きのびる」ことを担保するために、声を上げるのは、当然のことだと思っています。

つながろう

 福島第一原発の事故後、原発を推進する知事が東京や青森で当選して、世も末だと感じていました。
 でも、活動の中で、今まで付き合っていた人とは、違う人たちと出会いました。本当に生きることに真剣な人たちを知り、世の中捨てたものではないと感じることができました。
 脱原発というと「左翼」と言われますが、「何をつまらない話をしているんだ」と。「生き延びなきゃいけないということをわかってる?とりあえず生き延びられることになってから、右とか左とか楽しんでくれるか」ということなんですよ。
 右も左も宗教も関係ない。脱原発で同じ方向を向いているなら、誰とでもやります。僕は、ツイッターなどで「つながろう」と呼びかけています。一人ではなく、みんなで一つになることを願っています。
 だから僕はやれることは全部やろうと考えています。どんな団体のデモや、集会にも参加して、自分がそこにいることで、参加者が増えればいい。
 インターネットの情報は少数派だといわれますが、テレビや新聞などマスメディアが骨抜きにされる中で、草の根でしかやっていけません。
 国民投票の運動も、自分たちの意志を伝える手段の一つとして考えています。
 自分たちの思う結果が出るかどうかは分からない。でも、またもし脱原発の機運が高まった時のために、前例をつくっておきたいのです。もちろん選挙に行くことも、選んだ政治家に「ちゃんとやってくれ」と言うことも大事。一人一人が全国でそれをやらなくちゃ。
 「応援している」と言ってくれる人はいますが、声を上げなければ推進派と変わりません。
 原発をなくす活動は、暗くない。明るい未来を作るための明るい活動です。だからぜひ、みなさんにもできることから始めてほしいのです。


 やまもと・たろう 俳優。1974年11月24日生まれ。兵庫県出身。箕面自由学園高等学校在学中に「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」の「ダンス甲子園」の出場がきっかけで芸能界入り。その後、ドラマ「ふたりっこ」や「新撰組」(NHK)などに出演。

●みんなで決めよう「原発」国民投票プロジェクトとは●
 原発の将来について、国民投票を実現することを目的として活動するグループ。「脱原発」あるいは「原発推進」を呼び掛けるグループではありません。「原発」の是非を問う国民投票法の2012年通常国会での成立をめざしています。
 個人での賛同人も募集中。全日本民医連の藤末衛会長や長瀬文雄事務局長も賛同人になっています。ホームページはこちら http://kokumintohyo.com/

 

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