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2012年8月1日

【声明2012.08.01】水俣病被害者救済特別措置法申請打ち切りに断固抗議し、 すべての水俣病被害者が救済されるまで申請受け入れを求めます。

2012年8月1日
全日本民主医療機関連合会
藤末 衛

 政府・環境省は水俣病被害者救済特別措置法(以下、特措法)の申請受付を7月31日で終了 しました。紛争処理に軸足を置いたこの決定は、原因企業チッソの分社化手続きの加速化も念頭に置いた公健法認定作業の終了を見据えたもので、被害者救済の 受け皿を事実上途絶えさせ、万単位の潜在被害者が必要な救済から置き去りにされる歴史的暴挙です。被害者団体はもちろん、関係自治体の首長やマスコミから も救済漏れを懸念・批判する声・社説が相次いでいます。全日本民医連は申請打ち切りに断固抗議し、早急な申請受け入れ再開を求めるものです。
 6月24日に不知火海沿岸住民健康調査実行委員会が行なった「不知火海沿岸住民健康調査」では、1397名が受診し、1216名(87%)が水俣病と診 断されました。水俣病と診断された被害者は不定愁訴だけでなく、手足のしびれ、視野狭窄、味覚異常など水俣病特有の症状が多数認められています。今回の検 診で水俣病と診断された被害者には、閣議決定された救済対象地域に居住歴がない方も多数おられ、ほとんど同様の症状が見られました。このことは、政府指定 の救済対象地域が極めて機械的な線引きであったことを示しています。実際は、万単位の潜在被害者の存在が推計されます。同じく救済対象年齢についても、 30歳代から40歳代前半の受診者も水俣病と診断されており、1969年で区切ることに科学的な根拠がないことがわかっています。今後、加齢等に伴い症状 の発現や悪化も懸念され、大規模な住民検診なしに正確な被害状況を把握することはできません。また、差別に対する恐れや周知不足もあり、8月に入った現在 でも民間病院の広報や小さな新聞記事の告知を頼りに全国各地で検診を希望される方が後を絶ちません。
 今、政府・環境省が行なうべきことは、申請打ち切りを即時撤回し、申請受け入れを再開すること、被害の全容解明に向けた住民検診を行なうことです。
 全日本民医連は、「不知火患者会」とともに、次の要求の実現のために検診活動を引き続きとりくみ、全ての水俣病被害者、潜在被害者の最後の一人まで救済を受けられるよう引き続き全力を挙げる決意です。

 一、 すべての水俣病被害者が救済されるまで水俣病被害者救済特措法の申請受入を行うこと。
 二、 不知火海沿岸地域及び阿賀野川流域の水俣病被害の全貌を解明するため住民健康調査及び環境調査を実施すること。
 三、 被害は、沿岸部に限局されたものではなく、魚の流通ルート上で私たちが想像する以上の被害の拡大があります。また、1969年以降の出生者、転入者にも水 俣病の症状が見られます。対象地域と年齢の拡大を行い、補償給付及び救済の対象とすること。
 四、申請・認定数の居住地毎の情報公開と公的健康診断の情報公開を早期に行うこと。

以上

(PDF版)

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