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2012年8月10日

【声明2012.08.10】社会保障と税の一体改革関連法案の成立を糾弾し、その撤回を求める

2012年8月10日
全日本民主医療機関連合会
会長  藤末 衛

 8月10日、社会保障と税の一体改革関連法案が参議院本会議で可決成立しました。民・自・ 公3党の密約により、「今国会で、何が何でも通してしまう」ために、野党7会派共同提案の問責決議案を棚上げしたまま特別委員会を開催し、強引に本会議に かけられたものです。衆議院で強行採決させたときと同じく、またしても民・自・公3党の密室談合による暴挙です。国民の声に耳を傾けるのではなく、財界の 圧力に屈した、政党としてあるまじき行為です。今回の法案成立を糾弾し、その撤回を求めるものです。

 「消費税増税修正法案」は、当初わずかばかり盛り込まれていた高額所得者対策も削られ、低 所得者対策、中小企業対策もなく、文字通り国民に消費税増税のみをおしつける内容になっています。衆議院で採決された後も、国民の怒りは広がる一方で、い までも各種世論調査では6~7割が「今国会での成立に反対」です。
 消費税が10%に上げられたら、多くの中小業者が廃業に追い込まれます。貧困と格差が広がる中、低所得の人たちの生活はますます追い詰められます。被災 地の住民にとっては傷口に塩を塗るような仕打ちといえます。また医療や介護では、医薬品や医療材料などの仕入れにかかった税金は事業所が損税として負担し ています。消費税増税によって多くの医療・介護事業所が経営難に陥り地域医療が危機に瀕することは目に見えています。さらに、参議院での審議の中で、これ までの「社会保障の充実のために使う」という口実さえ崩れ、消費税増税の財源が大型公共事業に回されることが明らかになりました。

 「社会保障制度改革推進法案」に至っては、これまで全く議論されていない「新法」であるう え、その内容においては「安定した財源を確保するために消費税を目的税とする」、「受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度にする(個人の負担に 見合った給付にする)」、「自助、共助を原則に、家族相互の助け合いを基本にする」など、社会保障の財源を消費税におき、「自助」「共助」を明文化し、本 人、家族の責任を基本にしています。まさに自己責任で失業、病気、障害、老後の備えをしろというもので、憲法25条の精神に背き、社会保障の考え方を根本 から否定する憲法違反の法案です。
 かつて小泉政権下で「骨太の方針(経済財政運営と構造改革に関する基本方針)」によって毎年2,200億円の社会保障費が削減され、連続的に医療、介 護、年金、生活保護など社会保障の諸制度が改悪されたことによって、国民生活は大打撃を受け医療崩壊が一気に進みました。自殺者は14年連続して年間3万 人を超え、生活保護受給者はついに210万人を超えました。今回の社会保障制度改革推進法は、この「構造改革路線」を復活させ公的責任の放棄を法律で明文 化する大変危険な内容です。この重大な中身がまだ十分に国民に知らされていません。議員ですら、理解していない状況です。このような法案の成立は断じて認 められません。
 社会保障を拡充するために抜本的な対策が求められているにも関わらず、今回の法案は、国や自治体の責任による社会保障制度を解体し、社会保障に営利市場 化への道をひらくものです。アメリカと財界の圧力に屈し、TPP参加への地ならしが行われているとしか考えられません。

 今国会では、本法案を廃案へあと一歩のところまで追い込みました。たたかいはこれからで す。法案は成立しましたが、実施は2年後であり、その間に衆議院、参議院ともに選挙があります。消費税廃止法案を提出できる、民意の通る国会を作りましょ う。全日本民医連は、国民生活を破壊する「社会保障と税の一体改革」撤回へ向け、引き続き全力で奮闘する決意です。

(PDF版)

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