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2012年11月26日

【声明2012.11.26】「生活保護基準の引き下げに断固抗議し、権利としての生活保護制度の充実を!」

2012年11月26日
                         全日本民主医療機関連合会
                          ソーシャルワーカー委員会
                        委員長 大出珠江

 私たちは全日本民主医療機関連合会(以下、民医連と略す)に所属する医療機関、介護福祉事 業所で働くソーシャルワーカー(以下SWと略す)です。民医連綱領は「人権を尊重し、共同のいとなみとしての医療と介護・福祉をすすめ、人びとのいのちと 健康を守ります」とうたっています。私たちは「生活保護基準の引き下げ」に強く反対します。

 生活保護基準の引き下げには、生活保護受給者の「健康で文化的な最低限度の生活」が保障されないばかりでなく、最低賃金や住民税、就学援助や生活福祉資 金などの低所得者施策にも影響を及ぼします。収入が変わらなくても住民税課税世帯となれば、連動して国民健康保険料・介護保険料の引き上げや医療費の高額 療養費の対象も変わってきます。
 私たちSWの相談内容の中でも、医療費・介護費という経済的問題の相談は大変多く、相談内容も深刻さを増しています。受診の遅れが病気を重症化させ、手 遅れに繋がるような事例が毎年、後を絶ちません。2010年4月から2011年3月の民医連事業所への相談事例を調査した、医療費(介護費)相談調査 3029件の中でも、生活保護を活用して医療費や介護費の問題を解決したケースは871件ありました。
 今年7月、全日本民医連SW委員会から「生活保護のバッシングに対して抗議し、権利としての制度の充実を求めます」と声明文を出しました。厚生労働省の 「生活支援戦略」には、扶養義務者へ「扶養できないことの証明義務」が記されていますが、義務化する事で生活保護の申請に対してスティグマが働くことにな り、本当に必要な方が生活保護を受けらなくなります。そのため生活保護利用のハードルがますます高くなり、餓死や孤立死・自殺するケースが増えると危惧し ています。雇用や医療・年金等の社会保障が貧弱なわが国では、生活保護は最後のセーフティネットなのです。
 財務省からは生活保護給付費の48%が医療扶助であることから、医療費削減の方策として、受診時の一時自己負担化が提案されました。医療費削減のための 提案ですが、このことは医療費問題の根本解決には何ら繋がらず、むしろ受診抑制による重症化で更に高額な医療費を必要とする結果を招き兼ねません。加えて ジェネリック薬品の義務化や行政主体のセカンドオピニオン活用は、明らかな人権侵害です。
 生活保護のケースワーカーのケースワーク業務を民間委託させることも、自立支援に対しての公的責任逃れであり、本来はケースワーカーを社会福祉の専門職種とすることが求められています。
 今必要なのは、「貧困」問題の解決であり、憲法25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」を具体化した生活保護制度を守 り、充実させていくことです。私たちは患者、利用者の人権を守る立場から、「社会保障と税の一体改革」に反対するとともに一連の「生活保護基準引き下げ」 の動きに断固抗議し、権利としての生活保護制度を守り、充実させていくことを求めていきます。

(PDF版)

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