民医連新聞

2004年12月20日

安全・安心の医療をもとめて(31) 薬剤管理・注射業務を相互点検で見直す

薬剤管理・注射業務を相互点検で見直す

 福岡・佐賀民医連は、全日本民医連の「注射業務に関する理事会からの相互点検、学習運動」の提起を受け、薬剤管理も含め、法人を超えた相互点検を行いました。
(県連事務局・谷口路代)

 これまで、当県では「麻薬・毒薬・向精神薬の管理調査」や「中心静脈カテーテル徹底状況調査」「胃チューブ挿入 確認・点検」など、事業所の自主点検結果を集め、実態把握し、法人・事業所に注意を呼びかけてきました。八月には「薬剤管理交流集会」を開き、安全課題・ 管理運営課題・経営課題の視点からも、集団的で継続的な薬剤管理が重要なことを、共通認識にしました。

 さらに今回、すべての事業所で安全意識を高め、徹底して安全課題にとりくもうと、県連で「相互点検」を行うことにしました。県連理事会・医療部では、今 回のとりくみを特定の薬剤や注射業務だけの点検で終わらせず、職場や組織全体に「安全文化」を育み、根づかせるものとして位置づけ、継続して行おう、と確 認しました。すすめ方は左の通り。

すすめ方

●注射業務の点検表

  …全日本民医連の点検項目をもとに医療安全対策会議で、項目の追加、回答基準の設定、点検項目の記入者特定などを加え作成。各事業所での自主点検と調査団による点検は同一の点検表を使用。
●点検実施事業所
 

…県連内の全病院(八カ所)と、九州沖縄地協内で県連に病院が一つしかない長崎・大分も加わり相互調査する。
千鳥橋病院↓長崎
上戸町病院、京町病院↓大分健生病院

…診療所群は、法人内で相互点検を実施

●調査団編成
  …各病院から三人(薬剤管理責任者・看護責任者・リスクマネージャーなど)を、調査員として選出。
●実施期間など
 

…一〇月二五~一一月二六日に実施。
三法人に「実施要綱説明会」

●自主点検
  …「注射業務に関する自主点検」は、全病棟・外来で実施。病院管理会として病院全体の自主点検を実施。「麻薬・毒薬・向精神薬管理の自主点検」は薬剤部門で実施。
●相互調査スケジュール
  …(1)調査団打ち合わせ、(2)病院管理者との面接調査(組織概要・自主点検評価等)、(3)書面調査(マニュアル・組織図等)、(4)現地調査(二~三部署)、(5)調査団ミーティング
●相互点検後の報告
  …一〇日以内に調査団から相互点検報告書(県連統一様式)を提出

80人が点検運動に関わって  点検者になった職員はのべ三〇人。現地での対応を加えると約八〇人が点検運動に関わりました。

 病院機能評価を受審した病院の調査団は、サーベイヤーなみの厳しさで点検しました。冒頭の管理者との面接調査では、双方の緊張が伝わるほどでした。ま た、注射・薬剤に限らず、感染や業務の効率化にも踏み込んだ点検を実施したチームもありました。

 調査報告書は現在集約中ですが、調査団から「相互点検で自院に不足している部分が見えてきた」「たいへんだったが行ってよかった。改善に活かしたい」「逆に学ぶ点が多かった」などの感想が寄せられています。

 各調査団からの報告書はそのまま、病院管理会に返し、評価意見や改善・要望事項について、検討してもらうことにしています。県連規模で相互点検を実施し たのは初めてで、かつ「緊急点検」だったこともあり、日程や勤務調整、資料のやりとりが大変でしたが、集団的な協力で、安全課題にとりくんだ経験は、今後 の諸活動にも大いに活かせます。

 課題は、県連統一「点検表」の見直し、遅れている診療所群の相互点検の完全実施、そして組織全体に「安全文化」を育み、根づかせるための日常的な学習と点検運動の継続です。

(民医連新聞 第1346号 2004年12月20日)

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