副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2005年1月17日

副作用モニター情報〈215〉 リピトールの重篤な副作用

 リピトールによると思われる、肝機能障害、血糖値上昇等グレード2の副作用が報告されています。使用の増加に伴い、重篤例の出現など注意が必要で す。承認時データでは、肝機能障害は1割程度報告されています。肝臓に強力に作用する薬剤であり、定期的に肝機能をフォローする必要があります。血糖上昇 も頻度の高い(5%)副作用の1つです。AHA(アメリカ心臓学会)でも11月に、高用量アトルバスタチン群(80mg/日※)で血糖コントロールが悪化 すると報告(PROVE-ITサブ解析)しました。
 動脈硬化性疾患治療ガイドラインによると、糖尿病患者の脂質管理目標はTC200mg/dl、LDL-C120mg/dl以下であり、コレステロール低 下作用の強力なリピトールが多く選択されることが予想されます。血糖値上昇・糖尿病悪化には今後十分注意していく必要があります。
肝障害例
 症例1は併用薬なし、症例2は糖尿病でグリミクロン服用中でした。2例とも中止後約2週間でほぼ正常値に回復しています。

    開始前 1カ月 中止時 2~3週後 2カ月後
症例1(5mg*3カ月)
53歳女性
AST
22
51
107
47
以後中断
ALT
16
57
196
97
 
症例2(10mg*4カ月)
78歳女性
AST
19
131
131
39
34
ALT
15
187
187
50
40

糖尿病悪化例:67歳女性、高脂血症、脂肪肝
 健康診断で血糖値が高めと指摘され、BS=140、HbA1c=7.2で栄養指導を受けていました。プラバスタチンからリピトール10mgに変更となっ た1カ月後から、BS値の上昇がみられ、5カ月後に薬局から「リピトールによる可能性あり」と疑義照会したが継続、翌月受診時には頭痛が出現し、自己中止 していた例です。中止1カ月後にはすみやかに改善がみられました。

  開始前 開始時 1カ月後 5カ月後 中止1カ月後 中止3カ月後
BS(mg/dl)
140
174
223
169
118
130
HbA1c(%)
7.2
7.4
7.6
9.0
7.8
6.9

※国内承認用量は、家族性高コレステロール血症の重症例で40mgまで

(民医連新聞 第1348号 2005年1月17日)

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