民医連新聞

2005年2月7日

結核予防法改定 BCG接種期間の変更で乳児にリスクが

 結核予防法が改定され、今年四月以降は、乳幼児のツベルクリン反応を中止し、全員にBCGを行うことになりました。しかし、これに併せてBCGを接種で きる期間を変更・短縮するという改悪も行われ、小児科学会をはじめ、各界から批判の声があがっています。各自治体に接種期間の延長や、救済措置を求める運 動をひろげましょう。

 BCGの接種期間はこれまで「生後三カ月~四歳」でした。それが今回、「出生後~六カ月を原則、特別の事情によって一歳まで認める」と変更されたのです。

「未接種」児、増える恐れが

 現在、一歳になるまでにBCGを接種している乳児は八〇%です。それを生後六カ月以内に短縮してしまえば、未接種者を増加させる恐れがあります。
 また、接種開始時期が「生後すぐの新生児から」に引き下げられたことでも大きな問題が。日本ではこれまで、「生後三カ月以降」が接種の標準とされてきま した。それは、先天性の免疫不全の赤ちゃんへの接種を避けるためです。先天性の免疫不全は出生一~二万人あたりに一人と推定され、その大半が生後三カ月以 内で発見されます。新生児から接種を行えば、BCGの副反応発生事例を増加し、リスクを高めることになります。
 日本小児科学会も厚生労働省に「見解」と「要望書」を提出し、新生児のBCG接種のリスクが高いこと、医学的に接種が不適当で、生後六カ月以内に受けることができなかった乳児にもBCGの接種機会の留保を、と求めています。
 また、今回の改定は、昨年一〇月に通達を出し、今年四月から実施するという性急なものでした。「当初の該当者は、制度が変わっても、前の制度を受ける権 利があるのではないか。今年度まで―少なくとも一〇月に実施要領が決まるまで―に生まれた子には、『四歳までに受けるように』という説明がされています。 今年度生まれた子は四歳まで移行措置で保障すべき」と、小児科医の鈴木隆・全日本民医連理事は指摘します。「また、接種を受けられる日が年二回しかない、 という自治体もあり、一歳までは認める、といわれても、従来どおりの四歳までなら八回あった接種の機会が、一生に一度しか保障されない、ということになり ます」。

 自治体によっては独自施策として一歳までは無条件で公費実施するところや、救済措置を検討しているところもあります。各自治体に対し、四月以降の対応について、要求していきましょう。
 全日本民医連でも二月理事会までに見解をまとめ、対応をすすめます。(編集部)

(民医連新聞 第1349号 2005年2月7日)

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