民医連新聞

2005年2月7日

医理事会が声明 署名をすすめよう 精神障害者の通院公費制度守ろう

 全日本民医連理事会と同医療部・精神医療委員会は一二月一七日、精神障害者の通院公費制度(精神保健福祉法三二条)の継続を求め、声明を発表しました。一月の理事会では、緊急に制度の継続を求める要請署名にとりくむことを確認しました。第一次集約は二月末日です。

 政府・厚生労働省は「障害者自立支援給付法案(仮称)」を、今国会に提出しようとしています。この中で、精神保健福祉法三二条が定めた、精神障害者の通院公費制度の改悪を打ち出しています。
 三二条による精神通院公費制度で、患者負担は五%以下となっています。外来受診のほかデイケア、訪問看護、薬剤も対象で、認知症(痴呆)などを含めた精 神疾患患者に適用されています。病気と社会的ハンディキャップという二重の困難を抱えた患者にとって、受診を継続できるささえになっています。
 改悪案は、対象を統合失調症だけに制限し、所得制限を設け、かかれる医療機関を指定制にするなど、実質的に廃止する方向です。
 精神障害者の健康と生活を破壊する制度の「見直し」を許さないとりくみを、患者や諸団体とも共同して、急速に広げることが必要です。

 「障害者自立支援給付法案」の骨格は、昨年末明らかになりました。
 身体・知的・精神の障害種類別になっている現行の福祉を一本化し、「相互に利用できるように」というのが建前です。しかし「公費負担医療制度の利用者負 担見直しの必要性」に「精神通院公費、更正医療の対象者(人口の一%)は急増し、財政的にきわめて厳しい状況」をあげ(審議会資料)、本音は、またも「持 続可能性の確保」です。
 「過剰利用の抑制」として、原則一割負担、施設での食費・光熱水費の実費負担、サービス利用自己負担は月額最高四万二〇〇円、などの案が盛られ、受療権・生存権がいっそう削られる危険があります。

「これじゃ僕、病院に行けない」
患者さんの声もとに署名集める

 【岡山発】林精神医学研究所では、この改悪法案が発表された翌一二月二八日、緊急に幹部が集まり ました。ことの重大性に、公費負担制度の維持を求める署名活動をすぐ始め、県内の諸団体に広げよう、と相談。一月二一~二二日の全日本民医連精神医療・福 祉交流集会までに緊急に署名を集め、全国にも呼びかけることにし、職員に提起しました。
 当法人のソワニエ看護専門学校の関係者、けやき通りメンタルクリニックの外来患者さんや家族はじめ、民医連以外の事業所からも共感があり、署名は短期間で二〇〇〇筆以上を集めました。
 小規模授産施設に通っている患者さんに制度「見直し」の説明をしたら、「これじゃ僕、病院なんかいけないよ」と怒り、不安でパニックになったほど、深刻な問題です。職員は「制度維持の運動をすすめているから」と励ましました。
 日本共産党の小池晃議員が指摘していますが、この改悪は「人のやることではない」。患者さんの存在そのものを否定する法案です。
 多数の患者会にも呼びかけ、民医連で精神科のある県は中心になって、制度を守る全国的な運動を起こしていきましょう。

(馬場 修、事務)

(民医連新聞 第1349号 2005年2月7日)

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