民医連新聞

2005年2月7日

スマトラ沖大地震・インド洋大津波 家族と生活のすべてを失った被災地への医療支援・募金を

 昨年一二月二六日に発生したスマトラ沖大地震と大津波は、史上最悪の災害になりました。全日本民医連は、日本生協連医療部会の現地救援活動に協力 し、緊急支援募金をはじめ必要な支援にとりくむことを決めました。一月八日にスリランカ入りした日生協医療部会の藤谷恵三事務局長に現地の様子を聞きまし た。また、一月の全日本民医連理事会では、タイ・プーケットの様子を、カメラマンの郡山総一郎さんが報告しました。(編集部)

スリランカ
…藤谷恵三さんの報告

 被災翌日、スリランカ生活協同組合から各国の生協組織に支援要請が発信されました。ネパールで研修中の火置登医師が、一月六日に同国に入りました。
 日本からは私を含め、三人が向かいました。同国一三の生協病院のうち、被災したのはガンパハとゴールの二病院。被災生協を激励し情報収集、第二次以降の 支援のあり方を検討、人員・物資などの輸送や受け入れ先を確認することが目的です。薬剤や衛生用品など、支援物資も運びました。首都コロンボから海岸沿い を南下し、ゴール市入りするルートをとりました。
 三度襲った津波の高さは最高で三㍍程度だったそうですが、海岸から〇・五~一キロメートル以内が被災。住宅は崩壊し、がれきと衣類だらけでした。多くの 住宅がブロックを積んだだけの簡単な構造なのです。亡くなった方の多くが漁民、子ども、高齢者でした。避難所は寺院や教会でした。
 「船も網も港も一度に流され、生活のめどがたたない」と、漁師さんは語りました。津波の直前、西海岸では、一〇分ほど潮が大きくひき、たくさんの魚やエ ビが砂の上に残りました。魚を捕ろうと大喜びで海に行った人たちは、帰りませんでした。
 海岸線に沿って砂地を走っていた鉄道では、一五〇〇人の乗客が死亡しました。被災二週間後でも担架が行き来し、救助活動を続けていました。

ゴール生協病院

 病院の建物はさすがにしっかり建てられていて、無傷に見えました。しかし、CTやレントゲン、エコーなど肝心の医療機器や薬が潮をかぶり駄目になりました。すぐ買いかえる力がないため診療縮小です。
 火置医師は、寺院に設置した赤十字の診療所へ。地元スタッフは、「安全確認もできないうちに、よく来てくれた」と感激。火置医師の所属は神戸医療生協です。「神戸の震災の時、私たちが助けてもらいましたから」と、答えていました。
 成人病が多いので「高血圧や糖尿病の薬が流されて困った」という人や、「不眠」「子どもがうなされる」といった精神面の訴えが多いそうです。教育水準が 高く識字率が九割以上なので、汚水を飲むような人はおらず、感染症の心配も無いようでした。被災者は溺死や行方不明が多く、外傷が少ないため、NGOの救 急医療班はひきあげる方向でした。
 医療部会では当面、中古を含む医療機器の支援と、募金活動を呼びかけました。第二次の支援隊は二月一〇~一三日に訪問します。全日本民医連からも原和人副会長、清水洋事務局次長が同行します。

タイ・プーケット
…郡山さんの話

 タイに旅行中、このたいへんな災害がおきました。第一報は日本にいた知人から入りました。被災の翌日、プーケットへ入りました。
 パドンビーチの裏手にある病院についたとたん、その場所が被災地だと実感しました。死臭。病院掲示板の身元不明の死体のたくさんの写真、翌日から遺体の 損傷は激しく、ひと目で人間とは分からないほどでした。また、波といっしょに流れた細かいガラスがつけたらしい、細かな傷もたくさんついていました。取材 中にも遺体はどんどん運ばれてきました。二時間の滞在中、あらたに運ばれてきたのは約五〇体。
 病院には身元不明の方の棺桶がずらっと安置されていました。IDカードや遺体の写真が貼られています。ある女性は、その場に泊まり込んで妹さんを探していました。
 私はこれまで、戦争や紛争地の取材を何度も経験しています。でも、こんなにもたくさんの遺体を見たことはなく、どう撮っていいかも分かりませんでした。 現地へ行った時、九七〇人と報道されていたタイの死者数は、帰った時には一五〇〇人に、そして今は五四〇〇人です。
 「感染症が怖い、いったん伝染病がひろがれば、津波の犠牲者をはるかに超えてしまうだろう」と現地の医師が語っていました。また、救援物資が届かない地域があったり、盗まれたり、人身売買が起こるなどの話も耳にします。
 顔も食べ物も似ているアジアの人びとに、僕らにしかできないことがないだろうか、と思います。最初は写真を発表するつもりはありませんでしたが、記録として出さなければ、と皆さんに報告した次第です。


【全日本民医連募金先】 期間は当面2月末まで
[郵便振替]口座00180-0-20303
加入者 全日本民主医療機関連合会
※通信欄に「スマトラ沖地震カンパ」とご記入を。

[銀行振込]
中央労働金庫 本店営業部 普通預金1547211
全日本民医連スマトラ島沖大地震支援募金
※全国の労働金庫からの振込みは手数料なし

【医療部会募金先】 みずほ銀行 新宿中央支店
普通2615234
名義:日生協医療部会スマトラ沖地震
ホームページhttp://www.jhca.coop/

(民医連新聞 第1349号 2005年2月7日)

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