MIN-IRENトピックス

2013年4月15日

【声明2013.04.15】薬害イレッサ最高裁判決に抗議する

2013年4月15日
全日本民主医療機関連合会
会長藤末衛

 4月12日最高裁判所は、薬害イレッサ東日本訴訟についてアストラゼネカ社の法的責任を否定する判決を言い渡した。同日西日本訴訟に対しても同様の決定をした。先の最高裁判所の国に対する上告棄却判定とあわせ国と企業の責任を否定する判決が確定した。

 しかし、販売後わずか半年で180人のがん患者の命を奪い、2年半で557人の命を奪った未曾有の薬害イレッサ事件の歴史的事実に変わりはない。国と企 業の責任を不問にした判決に満身の怒りを込めて抗議するものである。そして、この判決が医師、薬剤師をはじめ医療現場、そして被害にあった患者とその家族 に、この悲惨な薬害の責任を矮小化、転嫁したもので断じて許しがたい。

 判決はイレッサ添付文書に欠陥がないとしたが、販売後わずか3ケ月で警告欄を設ける添付文書改訂がされた。そしてその後、致死的な間質性肺炎の副作用が 社会問題となるなか副作用死亡者が年間30名前後と激減した事実を説明できない。東京地裁判決の「医師1~2人が読み誤ったというのであればともかく、多 くの医師が読み誤ったと考えられる時には、医師に対する情報提供の方法が不十分であったとみるべきである」という指摘こそ正しい。

 今回の判決で国、企業は責任を免れたなどと受け止めることはあってはならない。被害者は文字どうり骨身を削りながら、がん患者の命の重さを問い、正義を 求め、薬害根絶のため、あるべき救済制度のため8年の歳月を闘いぬいたのである。国、企業はこの被害者の願いを受け止め、未曾有の副作用を出した薬害イ レッサ事件を改めて検証し、その教訓を余すことなく今後に活かす責務がある。

 私たち全日本民主医療機関連合会も薬害被害者に寄り添い、引き続き薬害根絶のために奮闘する決意である。

(PDF版)

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