民医連新聞

2005年6月6日

新医師臨床研修だより―6― 青森・健生病院 人と人とのふれあい それが研修成果です

 健生病院では、2004年に3人の臨床研修医を受け入れました。10年前からローテート研修(内科・整形外科・診療所研修など)を行ってきた経験 を基礎に、民医連医師として組合員さんと育ちあう研修、「医療生協研修」も取り入れました。今回は当院の特徴である「診療所研修」と「医療生協研修」につ いて紹介します。(伊藤しのぶ 研修医・医学生室)

 当院は初期研修として「診療所研修」を4カ月間行ってきました。必修化後は「地域医療」1.5カ月に加え、3年目に2.5カ月行います。
 診療所研修は、「病気だけを診るのではなく、患者様の生活背景まで診ることができる医師になること」が目的です。
 また、チーム医療、病院経営(マネージメント)に対する意識も学び、組合員さんとの関わりを育てる重要な研修です。プライマリ・ケアの力を発揮する場でもあります。
 実際に診療所研修をしてきた4年目の田中忍医師は「大病院では、病気を治して退院させることが中心だが、診療所は、退院したあとの治療と生活指導、慢性 疾患や幅広い病気の患者様を受け持っている。診療所研修の役割は大きいと思う」と当時を振り返りました。

地域で輝く民医連医師に

 当院が2003年から積極的にとりくんでいる「医療生協研修」の目標も、組合員さん(患者様)の気持ちを汲み取 れる医師に成長すること、組合員さんと触れあうことで地域の人びとの生活背景を理解することです。研修医は看護師やコメディカルといっしょに月1回の班会 やレクリエーションに参加します。先日の班会では組合員さんに自分の家から「味噌汁」を持ってきてもらい、その塩分濃度を測り、塩分摂取と病気の関係につ いて学習会を行いました。また、脈波測定器(血管年齢測定器)で一人ひとり実際に血管の硬さを測定しながら、食生活、喫煙や飲酒などと動脈硬化についての 学習会も行いました。研修医は医療についてわかりやすく話をするために学習を深めます。レクリエーションでは、組合員さん40人と「日帰りバスツアー」 へ。ニッコウキスゲ(山野草)を見て昼食を、その後は温泉で日ごろの疲れを癒しました。

組合員さんも『指導医』

 はじめは組合員さんと仲良くなるのが精一杯の研修医でしたが、回を重ねるごとに打ち解けていきました。「仕事の 話、家族の話など世間話をすることで、組合員さんの生活背景、病院への期待、どんな医師になってほしいのかが分かるようになった」と3年目の相原智之医師 は言います。
 石田晋吾医師(2年目研修医)が班会に参加した時の話です。「病院に行くほどではないが、ふだんより胸が苦しい」という組合員さんの話を詳しく聞き、異 常を察し、急ぎ受診をすすめました。その人は心臓疾患と診断され、手術が必要で入院し治療することとなりました。大事には至らず、早期発見に一役買うこと ができました。

学びあう心・育ちあう気持ち

 「忙しい研修の毎日、ほっとひと息ついて、組合員さんとお茶を飲みながらお話しするのが楽しくなってきました」 と阿部慎一医師(2年目研修医)。組合員さんは班会に研修医が参加し、親しくなることで健康への関心が増し、仲間増やしの原動力にもなっています。「毎 回、先生に会うのが楽しみ。うちの孫だ」と目を細めます。
 「診療所研修」「医療生協研修」を経て、一番の研修成果は人間と人間のふれあいを経験できたことだと思います。

(民医連新聞 第1357号 2005年6月6日)

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