民医連新聞

2005年6月20日

安全・安心の医療を求めて(37) 内視鏡検査のむせや汚染防止はオリジナル唾液吸引器で 京都民医連第二中央病院

 京都民医連第二中央病院の内視鏡室では、唾液の吸引機能付きマウスピースを作製しました。これを使って、上部消化管の内視鏡検査時に唾液によるむせや汚染を防止し、患者さんの不快感を軽減しました。内視鏡技師の野澤恵里子さんからの報告です。

 これまで、上部消化管の内視鏡検査を行っている時に、患者さんの唾液による誤嚥やむせ、またそれに伴う顔や衣服への汚染が多々ありました。これには防水 シーツの使用や膿盆で対処してきたのですが、この方法では十分な対処にはならず、患者さんに不快な思いをさせていました。
 そこで当内視鏡室ではこの問題を解決するため、唾液の「吸引機能付きマウスピース」を作製しました。ヒントは歯科用の吸引器です
 材料は、ふだん内視鏡に使っているマウスピースや吸引カテーテル、シリコン製のチューブなどです。吸引器につないで使用します。

吸引でむせ、汚染はどうなった?

 吸引機能付きマウスピースの効果を知るため、実際の検査で、このマウスピースを用いた一〇七人と、従来のまま施行した一〇一人の二群を比較してみました。
使用群では、「むせなし」の人の割合は約六割にものぼり、五回以上むせたひとはわずかでした。
 汚染範囲については、使用群の九割が口腔内にとどまり、衣服や枕の汚染はありませんでしたが、従来の群では、口腔外への汚染が目立ち、広範囲に汚染した ことが分かりました。以上の点で従来の群と比べ、有意差を認めました。
 内視鏡医からも、「検査をする上での支障はない」とのことでした。また研究から二年経った今でも、使用していることからも有効的であることがいえると思います。
 今後も、内視鏡技師として新しいことにとりくむ姿勢をもちスタッフ一同がんばります。


吸引機能付きマウスピース

(1)シリコン製チューブを2㎝にカットしておく
(2)マウスピースとシリコン製チューブをテープで留める
(3)シリコン製チューブに吸引カテーテルを通して完成(3㎝程度通すのが良い)
(マウスピースは高圧蒸気滅菌機で滅菌して使ってます)

使用方法

(1)患者さんに装着する(シリコンチューブを左側に)
(2)吸引カテーテルを吸引器に接続
(3)10~20mmhgの圧で持続吸引開始
(このとき患者さんの口腔粘膜を吸わないように注意)

(民医連新聞 第1358号 2005年6月20日)

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