民医連新聞

2005年7月18日

安全・安心の医療をもとめて(38) 「輸液ポンプを安全に使う」 臨床工学技士と看護師が連携

 輸液ポンプは、日常的な医療場面でよく使われるため、関連する事故なども多くなっています。臨床工学技士と看護師が協力し、安全な使用の徹底にとりくむ神戸協同病院(一九九床)の山本昌司さん(診療業務マネジャー)の報告です。

 現在、輸液ポンプは、確実で正確な輸液、また業務の省力化を目的として使用頻度が高い機器の一つになっています。また医療のあらゆる分野で使用されています。しかし残念なことに、電子機器であるがゆえに、故障や取り扱いミスによる事故が多数報告されてもいます。

 こうした状況の中で、安全に使用するためには、医療用電子機器(ME機器)全般に言えることですが、臨床工学技士(CE)と実際に操作する看護師が協力、日常的に情報交換、正確な知識と技術を持つことが大切になっています。

日常的な管理による気づき

 当院では、臨床工学科に在籍するCE七人が、院内の全ME機器のメンテナンスを担当しています。

 保有する三八台の輸液ポンプ(FP)は三系列一二種、一五台あるシリンジポンプ(IP)は、三系列六種です。それぞれ特徴があり、取り扱い法がやや異なります。

 これらの日常の保守管理には、「終始業点検表」を使っています(表1)。使用状況をCEが知り、看護師に情報を 確実に伝達できるよう考案しました。FP・IPの誤作動や異常、機能不全は、日常的に保守管理をしていても遭遇します。電気系統、駆動系統、汚れや破損に よる異常など、むしろ日常的な点検をするからぶつかる、と言えます。

 各機器に生じた異常の内容や修理などの履歴は、年度ごとに更新する「保守点検報告書」に記載しています。内容によっては、当該部署にコピーを渡し、理解してもらいます。

操作習熟の場を多くつくる

 看護師が操作に習熟することを目的に、次のことを実施しています。

 まず、CEが中心となってFP・IP各機種の特徴を把握し、操作マニュアルを作成しました。

 また操作指導を行う機会を様ざま設け、確実に行うことにしました。

 第一は、新入看護師の学習会です。初期研修項目として特別に時間をとっています。

 第二に、日常動作をCEが確認し、不適切な操作を発見した場合、その場で正します。全員が複数回やってみて、確認しています。

 第三に、異常が発生した場合、メンテナンスしますが、その原因と対策を報告します。観察力・注意力を高め、情報の共有につながります。

 第四に、新機種を導入する場合、現場で説明会を開いています。課題は、機会ごとに「医療事故防止対策通知対応」機への切り替えです。

 スタッフ全員が安全優先の手続きを遵守し、常に安全意識をもち続け、深めることが何より大切です。それには、スタッフ間で確実に情報伝達ができる良い人間関係を保つことも忘れてはならないと思います。


【終始業点検票の流れ】

(1)患者様の使用が終ったとき、看護師が、使用中の異常の有無・不都合などを票に書きポンプに貼り、各階のナースセンターに置く。

(2)病棟担当CEが各階を回り、カードの記載内容を確認し、機器とともに臨床工学科へ回収する。

(3)回収した機器・付属品を清掃。

(4)票の内容を順に点検する。

(5)バッテリを放電し再充電。

(6)終始業点検票に、点検内容と安全に利用可能かどうかの判定を記入し、機器に貼り付ける。

(7)各階の病棟に再配布。

(民医連新聞 第1360号 2005年7月18日)

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