民医連新聞

2005年10月17日

連載 安全・安心の医療をもとめて(42) 長崎民医連 安全の意味考え動く看護師へ「トレーニング講座」つづける

長崎民医連では、看護委員会のもとに看護活動小委員会をつくって、三年間、医療事故防止「トレーニング講座」を続けています。小委員会事務局の山口節子さん(保健師)の通信です。

 安全文化を培い、医療の安全性向上の課題に向き合うために「トレーニング講座」を始めて三年、学ぶ喜びを感じながら「安全のための意味を考えて動く看護師」へ、着実に歩みをすすめています。

 二〇〇〇年、当県連の看護活動交流集会で、馬渡耕史医師(鹿児島民医連)の講演「医療の安全性を高めるために」 に、とても触発されたことがきっかけです。患者の人権のとらえ方、医療事故が組織事故であること、自己点検・自己改革には学習やトレーニングの場が必要な ど、とりくみのヒントを得ました。

 翌年、継続的に看護介護活動の質の向上をはかろうと、看護活動小委員会を設けました。院所の部門責任者を中心に 看護委員会の代表が加わって一〇人で編成。医療事故予防トレーニング講座(以下、トレーニング講座)を開始し、「看護ニュース」を三カ月おきに発行するこ とにしました。

ちょっとだけ、子連れOKなど、参加しやすい形で

 トレーニング講座は約三カ月に一回、原則として勤務終了後の一時間程度で開きます。ちょっとだけ参加、子連れOKなど、参加しやすい雰囲気ですすめました。毎回二〇~三〇人が参加します(在籍正規看護職員数は一〇八人)。

 初めは「アッとハッと報告」の事例検討を重ねました。事例は回り持ちで出し、SHELLモデル分析法を学ぶつもりで、グループワークをしました。

 〇二年からテーマを「転倒・転落予防」「注射事故予防」、「感染予防の基本」と設定しています(表)。ある時は転倒・転落予防グッズを持ち寄り、展示会さながらになったりしました。

 最近は、医師・薬剤師の協力で勤務時間内にも開催。インスリン関連の「アッとハッと報告」を受けて「糖尿病治療と薬剤」をテーマにしました。

3年間の事例検討生かす「転倒・転落予防マニュアル」

 三年間続けての前進面の一つは、「アッとハッと報告」を考えながら書くようになったことです。SHELL分析をする中で、どんな情報が必要かを理解できるようになりました。医療事故に結びつく環境をとらえる視点も学びました。

 また事業所を越えて交流し、すすんだ部分を学び合い、全体の水準アップにつながりました。素朴な疑問でも率直に出し、考え合って解決する楽しさがあり、「来てよかった」という声もあがっています。

 さらに、現在作成中の「転倒・転落予防の対応マニュアル」に事例検討の中身が生きたこと、課題だった「リスク評価表の徹底化」にもよい影響がありました。なぜ必要なのか、意味を学び、その効果を知ったからだと思います。

 今後の課題は、マニュアルを基礎にして、患者一人ひとりの個別性を大切にする応用編ですが、その力も事例検討で鍛えることができる、と考えています。

(民医連新聞 第1366号 2005年10月17日)

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