民医連新聞

2005年10月17日

31th民医連全国青年JB! 1130人が北海道で大交流

 第三一回全国青年ジャンボリー(JB)を九月二五~二七日、北海道・洞爺湖(とうやこ)畔で開きました。韓国・グリーン病院の青年七人と全県連の参加者 あわせて一一三〇人が交流しました。「北海道の自然・文化に親しみ、民医連と共同組織の歩みを知り、いのち・平和・憲法の尊さを学び、仲間と語り交流し 合った」三日間でした。(荒井正和記者)

1日目開会式は、有珠山(うすざん)と洞爺湖を眺める屋外ステージで。北海道勤医協の伝統芸能サークルの三宅太鼓で力強く始まりました。

 全国JB実行委員長の剱持善之さん(釧路協立病院、医師)が開会宣言。集会の目標とキーワードのアイヌ語「チャ ランケ」=「とことん語る」を説明しました。そして「憲法九条が危機に瀕しているいま、医療改悪がすすむいま、全国、海外からも集まった仲間ととともに民 医連医療のルーツを知り、自分の信念を獲得してほしい」と呼びかけました。

 全日本民医連の升田和比古副会長があいさつしたほか、開催地・虻田町の長崎良夫町長もかけつけ、一九七七年、二〇〇〇年の有珠山噴火時の支援のお礼を述べました。

 韓国・グリーン病院の七人を代表して発言したのは、イ・ジョンフンさん。「みなさんといろいろな話をして仲良くなり、たくさん学び、韓国に持ち帰りたい」。

 札幌学院大・講師の馬奈木厳太郎(まなぎいずたろう)さんの講演(別項)の感想を班討論で出しあいました。韓国の青年たちが入っている二班は合同で、馬奈木さんも加わりました。片言の韓国語、日本語で自己紹介しながら…。

 「聞きたいことをメモしてきた」、と発言したのはユ・ホンソクさん。「日本の青年のどのくらいが憲法九条が変え られようとしていることを知っているのか。韓国の僕たちと比べ関心はある?」と尋ねました。「職場の友人たちは危機感を持ってる。でも、プライベートで話 すことはない」などと素直に話し合いました。

 夜は遅くまで語り明かしました。

2日目は、苫小牧、室蘭、黒松内の三コースを二四台のバスに乗り込んでフィールドワーク。民医連と共同組織の歩みを知り、北海道の自然に触れる企画でした。

 夜は大交流会。キャンプファイヤーや踊りや歌で盛りあがりました。

3日目はまとめの班討論。JBで感じたこと学んだことなどを出しあい、一枚の用紙に書き込みました。

 閉会式、グリーン病院の参加者は「経験と歴史のある民医連からたくさんのことを学びました。私たちの病院もそうなるよう、私たちが種になってがんばりたい。また会いましょう」と呼びかけました。

 全国JB事務局長の奥出千春さんがJBアピールを「北海道で得た地域との共同の営みの大切さを自分の事業所に持 ち帰って下さい。平和という言葉をもっと幅広く、もっと身近なものと考え、周りの人に広めてほしい。民医連がかかげる無差別平等の医療、一人ひとりが大切 にされる社会をめざしてみんなの力でJB運動を発展させましょう」と読みあげ、一同拍手で確認。参加者たちは何列にもなって肩を組みテーマ曲を歌いまし た。


フィールドワーク
苫小牧コースでは

 開発したものの工場誘致に失敗した原野を一望。「下水道完備の原野」です。税金がもったいない。講演会場の入口 では、友の会の人たちが手作りのレイを首にかけ、歓迎してくれました。友の会の石川孝雄さんが勤医協苫小牧病院の建設運動と、同院が住民のいのちと健康を 守る財産になっていることなどを語りました。

 昼食は白老(しらおい)のアイヌ村。大きな牛肉の固まりを串焼きにしたカウボーイ焼きを食べました。アイヌ舞踊をみて、民族楽器作りに挑戦。


友情は海も国境も越えた!
韓国の青年たちと

 韓国の青年職員たちも、一般参加者と同じ行程で三日間を過ごしました。彼らが入った班では…「医療にかかりたい という声が大きくなって私たちの事業所も、グリーン病院も生まれたことが分かった」、「日本が戦争する国になったら他の国にも影響を与えてしまう。韓国の 人とも話ができて良かった」、「チャランケは世界を広げる。話し合えて、同じようにがんばってる人が世界中にいると希望が持てた」など、意見が出ました。 みんなでつくった班メッセージは、「希望日韓、チャランケは国境を越えた」

「外から見た日本国憲法、内から見た日本国憲法」

札幌学院大学・馬奈木厳太郎先生の講演 60年前、日本政府は「軍国主義で間違った戦争をした」というポツダム宣言を内外に正式に認め、敗戦から再出発しました。

 憲法前文は、「政府任せでは、また戦争を起こすかもしれない。平和や安全保障は国民1人ひとりが考えなけ ればならない」といっています。「平和を愛する世界の人と交流し、平和のつくり方を考えることで、日本の平和や安全が見出せる」というメッセージも発信し ています。市民にも外交力はある。NGO活動やアジアの友人をつくること、韓国の方を招いたこのJBもその1つですね。

 日本の改憲の動きを、韓国でも大変心配されています。「9条があるのに、自衛隊がイラクに行った。この歯止めがなくなったら…? 南北朝鮮の平和的統一の妨げにもなる。東北アジアの平和も危ない」と。9条は紛争予防のメカニズムです。

 「改憲には無関心」という人も多いのではありませんか? ローマにはこんな言葉が。「自ら虫けらとなるも のは後で踏まれても文句は言えない」。改憲されてから「こんなはずではなかった」では遅い。私には影響ないよ、という考えを許さないのが法律の怖いところ です。憲法学は「人権、個人の尊厳は大事にすべき」と200年間言い続けています。それらが常に危うくされるのが歴史の教訓だからです。

 憲法は「国家」は国民の自由や権利を守り、発展させるためにあるしくみだ、という「立憲主義」に基づいて います。自分で自分の生き方を決める、それを保障するのが憲法であり、国家のあり方を決めるのは国民です。今の憲法は、私たちのためにあります。改憲をさ せるかどうかは、私たち1人ひとりにかかっています。

(民医連新聞 第1366号 2005年10月17日)

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ