民医連新聞

2006年2月6日

全日本民医連第37回総会まぢか 方針(案)の読みどころ ――長瀬文雄事務局長に聞く

希望もち、人権のアンテナを高く

 理事会は第三七回総会方針(案)を発表し(民医連新聞号外・一月二五日付)、「読んで、自分たちの事業所や職場に即して論議を」と呼びかけています。長瀬文雄全日本民医連事務局長に、読みどころを聞きました。

 職員数は一月現在、六万人を超えました。この議案は、全職員に向けて発信したものです。同時に各職場の課長さん、主任さんたちには、一つでも二つでも「自分の職場でも具体化したい」と考えていただければ、と思っています。

 議案から「学ぶ」だけでなく、「自分の職場・事業所に置き換えたら、ここはどういうことだろうか?」と、話し合いながら読みすすめてほしい。知恵や勇気が湧いてくると思います。

 なお、今回の議案には、すべての県連のエピソードが盛り込んであります。皆さんの県がどこに載ったか、楽しみに見つけて下さい。

 三六期二年分の「民医連新聞」を読み返し、受療権を守るためにがんばっている仲間たちに、あらためて励まされました。共同組織も、地域での助け合いや健康づくりといった多様な活動を広げています。

 厳しい時代だからこそ、しっかり地に足をつけ、「命の平等」を求めるとりくみを今日より明日は、明後日は、と広げ、地域から良くしてゆこう。そういう私たちに、様ざまな人たちから共感が寄せられ、社会も変えられる、という思いも込めています。

 「人権のアンテナの感度を高めよう」と強調しました。これは職員個人のレベルから、職場・組織、地域レベルで高めてゆこう、という提起でもあります。

 地域になくなった銭湯を復活させようという高知・旭診療所、被災者の居場所を確保しようと努力している新潟・な がおか医療生協、患者さんの受療権を守るために、受診が困難な患者の相談に、薬剤師たちがとりくんでいる静岡・ことぶき薬局、などのとりくみを民医連新聞 にも載せました。これらの活動は自信にも確信にもなります。

情勢認識と私たちの姿勢

 総会の任務の一つは、議案で打ち出した情勢認識を一致させ、深めることです。一章の内容は「読めば分かる」「情勢負けしない情勢論」を心がけました。小泉政権のもとで、国民生活がどうなっているか、憲法と平和、医療、介護などの分野ごとにふれています。

 一方、世界の流れに目を移せば、日本と同じ資本主義国でも、まさに憲法二五条の価値観を実現するような路線を歩むスウェーデンなどの国があります。

 アメリカを中心とした新自由主義の流れに対抗し、「もうひとつの世界は可能だ」として、別の世界のあり方を提案する国際的な運動も起きています。

 「今の国会は何でもアリ。何をやっても無駄」と悲観する声もあるでしょう。しかし、見方を変えれば、今度の医療 改悪案に医師会や高齢者の怒りが広がっているように、小泉政権は、どんどん味方を失っています。国民の怒りはいまは分断されていますが、共同がつくれれ ば、政治を変える力になります。しかし放っておいては情勢は良くなりません。章の結びには「分断に対し連帯を」「競争に対し共同を」と、民医連の構えも宣 言しました。

民医連らしい診療能力のアップを

 保健・予防活動、医療安全、日常診療の強化、民医連ならではの医療・福祉活動の推進も強調しました。「切れ目の ない民医連の医療活動の三つの視点」についてもふれました。これは、「住民の受療権と患者の権利を守りながら、(1)ケアの個別性や患者をトータルにみて 行動変容に結びつける、(2)『共同の営み』の医療をすすめ、保健予防・医療・介護福祉をつなぐ、(3)疾患を生活と労働、環境・地域からみる」という視 点です。

 たとえばアスベスト問題です。「生活と労働の場」から疾患をとらえ、健康被害を受けた人たちの生命を守るという医療理念をつくりあげてきた民医連の、他の医療機関にはない蓄積を生かし、まさに生活と労働の場で発生したこの問題に、全力でとりくみましょう。

元気な職場の4つの要素

 民医連には、課長や主任などの職責者が約二万人いて、日常活動や職場運営の中心を担っています。この職責者の皆 さんが、どういう視点で職場づくりをすれば良いのか、ていねいに整理してみました。(1)たえず患者・利用者の「人権を守る」ことが中心に座っている職場 である、(2)職場の誰に聞いても、目標や課題についての認識が共通している、(3)「学習」が重視されている、(4)決めたことをやり抜く気風がある。

 職種・職場の違いに関わらず、この四点を貫いて二年間力をつくせば、誇りの持てる職場がつくれる、と思います。

(民医連新聞 第1373号 2006年2月6日)

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