民医連新聞

2008年1月21日

相談室日誌 連載254 中高年患者への就労支援 淨閑(じょうかん) もゆる

当院には、〇二年一一月に開設した四八床の回復期リハビリテーション病棟があります。高齢者が多い中、四〇~五〇代の脳血管障害の患者様の入院が増えています。当院では在宅復帰だけでなく、職場復帰までを視野に入れたとりくみをしています。
 Aさん(五〇代・男性)は、大手企業で事務をしていましたが、脳出血になり、右半身麻痺と失語症が残りました。リハビリでADLは自立しましたが、言語面では長文になると理解に困難が生じました。
 職場復帰に向けたリハビリのため、職業センターを紹介しました。Aさんは当院に定期受診し、外来リハに通いながら約九カ月間、職業センターに通い、訓練を続けました。
 しかし会社の復職審査会で、一回目は「求めている運動機能に達していない。さらなる努力を」と言われました。そこで、Aさん夫妻と職業センターのカウン セラーとともに対策を考えました。主治医、作業療法士、理学療法士に専門的立場から、Aさんの復帰の見通しについて報告書の作成を依頼しました。
 またAさんは、毎朝・晩に血圧測定を実施、万歩計をつけて記録しました。職業センターと連携してすすめた結果、二カ月後の審査会でようやく復職が認められました。
 Bさん(四〇代・男性)は、個人請負で建設関係の仕事をしていましたが、脳梗塞になり、右半身麻痺が残りました。単身のBさんは入院と同時に生活保護受給となりました。
 Bさんは「早く復帰したい」との思いが強く、時間のかかる職業リハビリを希望しませんでした。しかし、入院生活への不満や障害への葛藤、仕事ができるか どうかの不安などを話されて、私たちは精神的サポートを含め継続的に関わりました。退院後、再び建築の現場で働いています。
 働き盛りでの発病は、単に病気を治すだけではなく、どのように社会復帰するかが課題です。しかし、職場復帰にむけた専門的リハビリを実施している機関は 少なく、遠方にしかありません。また、支援を受けながら働くことができる「福祉的就労」の場も数が少なく、生活できるほどの収入は得られません。今ある資 源の活用だけでは不足で、新たな資源の開拓が必要ではないかと感じています。

(民医連新聞 第1420号 2008年1月21日)

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ