民医連新聞

2008年1月21日

地域で医療を守る(19) 医療崩壊くい止めよう多数の賛同で「県民のつどい」 長野

 「医師を増やし、地域医療守ろう! 12・8県民のつどい」が、昨年一二月八日に信州大学(松本市)で開かれ、医師・医療関係者・市民など約三〇 〇人が参加しました。主催はつどい準備会(代表・束原進長野民医連会長)。県連では医師を先頭に医師会や病院を訪問し、賛同を広げました。信大病院や佐久 総合病院などの病院長や信大医学部教授、自治体首長など約一八〇人が呼びかけ人に。当日は本田宏さん(済生会・栗橋病院副院長)が講演し、シンポジウムで は住民や医学生も交え、意見交換しました。

院長が訪問、賛同広げる

 「ベッドが小さくなったら、ベッドを広げるのではなくて、足を切れという。そのような国の医療政策 には、市民とともに声をあげていかなくては」。訪問した松本市医師会長の賛同の言葉です。松本協立病院の具志堅進院長は「思想信条は違っても、良い医療を したいという点で大同団結できる」と確信を強めました。
 「飯田・下伊那地域すべての病院長から共感と賛同が得られた。勤務医のあいつぐ退職や出産、手術の縮小など、地域のたいへんさを実感した」(牛山雅夫・ 健和会病院院長)。「医師会で役員会の議題にのせてもらうと、『何でも協力する』『本田先生の話をぜひ聞きたい』とすごい反応があった」(岩間智・諏訪共 立病院院長)。
 束原進会長は「民医連の呼びかけに、これほど賛同が広がったのは初めて。それだけ事態が深刻」と話します。多くの病院長が手帳を出して当日の予定を確認したことも驚きでした。

「低医療費政策やめよ」

 本田宏さんは講演で、医師不足と深刻化する地域医療崩壊の原因に鋭く切り込みました。「日本は先進国中、医療費がもっとも低く、患者負担がもっとも高い」とのべ、国はすぐ低医療費政策をやめるべき、と強調しました。
 シンポジウムでは、医師や行政担当者、住民、医学生が発言。フロアとも意見交換しました。長野県は人口一〇万人当たりの医師数が全国平均と比べ、約一九 人も不足しています。病院勤務医の不足数は六〇〇人以上に(〇六年末)。
 〇五年以降、二七病院で診療科を休廃止。六年間で産科は、六八から四九に激減しました。「自治体病院の公共性が薄れている」「救急搬送が集中、受けきれない」など危機的現状が報告されました。
 地域で安心して子どもを産み育てたいと活動している女性は「病院の医師の労働環境や、診療科の存続がギリギリの状態であることが分かり、活動の方向をど こに向けたらいいのか戸惑った。でも、大切なものは命。みんなで考えていきたい」と発言しました。

本格的なウエーブを

 つどいは、(1)医学部定数削減の閣議決定を見直し、医師養成を増やすこと。医師数をOECD平均 水準に早く近づけること、(2)勤務医が働き続けられるよう診療報酬を増やすこと、(3)医療事故に警察介入をやめ、原因究明と再発防止を目的にした第三 者機関の設置、無過失補償制度を設立すること、のアピールを確認しました。
 職員たちは、心ある医師たちが立場の違いを越えて集まったことを確信に、〇八年は「本格的なドクターウエーブを」と期しています。(湯浅健夫・県連事務局長)

(民医連新聞 第1420号 2008年1月21日)

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