事業所のある風景
2005年2月15日
兵庫/特養ホームふたば もうひとつの家 もうひとつの家族
土地無償貸与の特養づくり運動
1985年4月、「番町地区特養ホームの建設をすすめる会」が結成されました。その後、運動は長田南部地域に広がり、神戸市への陳情・交渉を重ね、市有地を特養建設法人に「無償貸与」する制度を実現させました。
1990年には第1回として、神戸市は長田区に無償貸与希望法人に対して「公募」を行うにいたりました。しかし「すすめる会」は自己資金と福祉事業の不 足から選考に落ちる結果となりました。その後、次の公募に向けた実績づくりと「駒どりの家」立ち上げを行いました。1991年、ボランティアによる一人暮 らしのお年寄りへの昼食会をはじめ、続いて1992年に宅老所をはじめました。この中でお年寄りとボランティアにとって「ともにすごしともに生きる」ある べき姿を育み、原点となる「もうひとつの家・もうひとつの家族」の概念を築きあげました。
大震災の瓦礫の中から法人認可
地域にささえられた特養ホームの実現
1995年1月の阪神・淡路大震災直後、神戸医療生協と駒どりの家は連携をいっそう強め、 1997年には神戸医療生協より「いたやど会館」の土地と建物を寄付行為により財産分与し、社会福祉法人の認可によるデイサービスの開設と二つの組織の合 併を実現しました。その後、2000年の「公募」にむけ、「駒どり友の会」で神戸医療生協組合員を中心にした大募金運動がすすめられ、「事業実績と資金」 を整えて公募に当選し、念願の長田南部に特養ホームが実現することとなりました。
個室・ユニットケアのふたば
特養60人ショートステイ10人デイサービス40人
神戸市から貸与される土地は震災の再開発計画による店舗・住宅の9階建「合築」ビルの3・4階と2階の一部でした。制約された建物の中で、個室・ユニットの実現に努力しました。
2004年4月、多くの期待と運動に支えられ寄付は2億4千万円と目標を超過達成し、開所することができました。入居の方の引っ越しは4月1日から始ま り、4月22日には全員の引っ越しが完了しました。デイサービスは365日年中無休です。医療との連携の中で重度者の方にもご利用いただけるようにしてい ます。しかしながら、現在の特養ふたばの待機者数は430人となっています。
運営方針は、人間としての尊厳を尊重しプライバシーのある自由で安らげる生活を支えていくことです。ユニットごとにリビングを設け、スタッフを配置し、 食事・お風呂・お付き合いを共にする家族的な暮らしを基本にします。地域住民の参加による開かれた運営と、安定した民主的な経営管理をすすめます。
今後、介護保険の改悪が予定され、現在利用者からいただいていないホテルコストや食事代の保険はずしなどがだされています。安心して住み続けられるまちづくりのために、地域の人びとと協同し運動をすすめていきます。
(特別養護老人ホームふたば施設長 宮野 孝子)
「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2005年2月号.No.390より
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