民医連新聞

2006年3月6日

看護もっと輝きたいの (11)起こすぞウエーブ 看護師100人、声ぶつける「想像以上だった」と厚労省

 二月九日、全国から集まった看護師が国会要請・厚労省交渉を行いました。また、一九日には、九州・沖縄の、公立・民間の看護師有志が呼びかけ、五五〇人の大行動が組まれてました。「ナースウェーブ」が起こりはじめています。

550人で大宣伝
九州・沖縄の医療従事者

 二月一九日、福岡市の繁華街に医療従事者が集まりました。「看護師を増やしてこそ、安全・安心の医療を提供できます」。看護師や医師ら約五五〇人が横断 幕やプラカードを掲げ、看護師増員をアピールしました。

 これは、九州・沖縄の国・公立、民間医療機関の看護師二〇人がよびかけ人になり、「看護改善2・19大宣伝行動実行委員会」をつくってとりくんだもの。

 公立病院からも一〇〇人もの職員が参加しました。白衣やナースキャップ姿のデモ行進の後、署名行動も。このことは朝日・毎日・西日本新聞なども報道しました。(写真/福岡民医連・浅野隆樹)

白衣の看護師、 国会へ
2・9行動

 二月九日、全日本民医連が行った看護増員を求める国会請願と厚生労働省交渉には、全国から一一〇人が集まりました。  厚労省への要望は、一般病棟の看 護職員配置基準を1.5:1以上にするなど、配置基準の改善や、在院日数のしばりの廃止、看護師養成数のひきあげ、新卒看護師の指導者の人件費補助など六 点です。

 現場から八人が訴えました。「新人は、臨床で何もできない状態で入職する。『何度確認しても怖くて注射ができない。不安で夜中に目覚める』という具合。 そんな新人を、夜勤に入りつつ教えている」(東京)

 「夜間、緊急患者に二人がかりで対応している時、排泄のコールがあった。介助すればでトイレに行ける患者なのに、『おしっこはオムツにしてね』と言うし かなかった三年目の看護師は傷ついた。こんな風に希望ややりがいが、奪われる。確保も難しく、年中探して、来てくれた看護師たちに『オムツにして』と言わ せるのはたまらない」(福井)

 「療養病棟もたいへん。オムツ四五人、気管切開一〇人、食事に一時間かかる人が十数人。週二回の入浴のためには、一日二〇人の患者をお風呂に入れなけれ ば間に合わない。忙しくても達成感があればいいが、それがないから職員の自信につながらない。いい看護介護がしたいのに…」(沖縄)。

若手職員が急に手を挙げ

 予定した発言が終わってから、手をあげた若手がいました。神戸協同病院の三年目看護師・藤原藍香さんです。「一二人いた同期は、二年半で四人に。一人以 外は皆、『看護師がイヤ』と辞めた。職場は忙しくて『もっと人がいてくれたら』と思うと同時に、辞めた仲間たちを助けられなかった残念さがある。私も辞め たいが、残された患者さんや同僚を思い葛藤している。そこにまた『診療報酬が変わるから、がんばれ』と声がかかる。管理職も私たちも限界。厚労省は、きい てくれるか分からないが、現場にいると想定して制度をつくって」―涙をこらえて話しました。

 最初はじっと座っているだけだった厚労省職員も、現場の看護師たちの話に、メモを始めました。議員要請を終えたメンバーも集まり、会議室は白衣で埋まりました。

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 民医連の要請項目に厚労省は、新しい診療報酬で1.4:1看護の新設を検討していることや、現在各医療機関の努力で行われている新卒者研修の整備の必要性について検討を考えている、との回答にとどまりました。

 しかし最後には、こんな感想を残しました。「一人でも多く看護師になり、仕事も続けてほしい。現場は、想像していた以上にギリギリの状態で、ジレンマの 中にいて、たいへんという印象だ。対応は遅いかもしれないが、支援したい」。

(民医連新聞 第1375号 2006年3月6日)

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