民医連新聞

2008年3月24日

私たちの調査・発信が世論を動かした2年間 肥田 泰(ゆたか)会長のあいさつ

 三七期は憲法を守ることを第一義的課題とし、民医連内に一五〇〇以上の「九条の会」が生まれ、創意工夫して活動しています。   辺野
古支援連帯行動には青年を中心に、のべ一六〇〇人の職員が参加し、職場、事業所、地域で平和活動の担い手として奮闘しました。
 後期高齢者医療制度中止・撤回をいち早く呼びかけ、社保協で三五〇万、民医連で一〇〇万筆の署名が集まり、四野党の廃止法案提出をあと押ししました。
 またドクターウエーブ、ナースウエーブを提起して、「看護師増やせ」の署名は民医連独自署名が一〇〇万筆を超えました。国会が全会一致で可決する画期的なとりくみでした。
 絶対的貧困の中で、国民が苦しい生活を強いられている現状と真正面から向き合い、高齢者生活実態調査、国保困難事例調査、孤独死調査、生活保護老齢加算 廃止影響調査、寒冷地緊急生活調査など、現場際から調査、告発、発信をしました。
  原爆症認定集団訴訟では、民医連医師団がまとめた意見書が裁判勝訴に貢献し、国も全面的見直しを言わざるをえなくなっています。
 薬害肝炎訴訟、水俣病掘り起こし活動、アスベスト問題への対応、大気汚染公害被害者支援など、被害者、患者、国民の権利擁護の立場で関わり、運動の前進に寄与しました。

全国支援で経営再建

 経営困難に陥った徳島、川崎には地協とともに対策本部を設置しました。幹部派遣、資金結集、金融機関対策、職員の他法人・他県連異動、医師支援などを実施し、当面の危機は回避し、経営改善にむけ前進しています。
 北海道勤医協には全国から資金が集まりました。資金難を回避でき、黒字の見通しになっています。川崎は経営困難支援規定にもとづく連帯基金を発動し、全県連から素早い結集をいただきました。
 これらの法人が展望を開きつつあるのは、全国の連帯と支援あってこそです。
 福田首相の支持率が三〇%を割り込む状況になりました。イージス艦の衝突事故、在日米軍・海兵隊員の少女暴行事件もまるで他人ごと。「国民の生活改善は 何もせず、道路特定財源だけは使い切る内閣はやめろ」の声を、今こそ大きく広げるときです。

室料差額よく議論を

 民医連はこれまでの総会・評議員会で、現段階では室料差額は徴収しないことを確認してきまし た。万が一、徴収せざるを得ない情勢となった場合は、総会でよく議論し、全体の総意の上で行うことを決めました。総会方針の実践が求められる加盟事業所が 差額徴収を計画する場合は、事前に県連などを通じて相談があるべきで、組織の民主主義にかかわる問題です。
 また、徴収しないことは「無差別・平等の医療」の旗印であり、地域の信頼、職員の誇りです。理念が問われる問題です。
 室料差額は混合診療の一形態です。厚労省は「特定療養費」と言い方を変えましたが、言い方が変わっても本質はかわりません。いま国は社会保障を「自助・ 互助」に変えようとしています。私たちは自らの理念に基づいて、しっかりと対応しなければなりません。
 最後に、今総会に新綱領改定草案を出しました。時間をかけ全職員、共同組織で練り上げていきましょう。

医療崩壊防ぎ権利としての社会保障を

鈴木 篤(あつし)新会長のあいさつ

 本総会で私たちは、「たたかえば情勢は切り開くことができる」と確認しあい、自信と確信をつくりだしました。様ざまな運動が「民医連の出番」を大きく拡げ、質的にも量的にも新たな段階に高めました。
 この基礎には、民医連五五年の歴史があります。「室料差額なし」をシンボルにした無差別・平等の医療、被爆者医療、公害・薬害問題、安心安全の医療への 真摯なとりくみ、訪問看護、いち早くとりくんだ高齢者医療。これらを貫く「まっすぐな人権意識」が、民医連の評価となり、いま主張と役割が新たな注目を集 めているのです。
 後期高齢者医療制度で四月から年金天引きが始まり、怒りが沸騰することは明らかです。廃止法案が野党四党の共同で国会に提出されました。訪問・聞きとり調査を実施し、中止・撤回に追い込みましょう。

総選挙を好機に

 三八期の遅くない時期に総選挙があります。改憲勢力にさらに打撃をあたえ、医療崩壊を防ぎ、権 利としての社会保障を充実させる好機です。本総会で財源論も含む「医療・介護再生プラン」案を提起しました。共同組織や医療関係者、学者とも大いに議論し 練り上げましょう。それは総選挙勝利への準備でもあります。
 医療や福祉の充実こそが産業構造の転換を促し、安心して住み続けられる国をつくります。
 また、辻井喬さんが記念講演でのべたように、平和憲法を守ることが日本経済を再生する道です。
 新綱領草案をみんなでいっしょになって討議することは、未来の民医連運動の担い手を育てる礎です。
 民医連のなによりの宝は、いまも現場で親切で良い医療や介護を、泥臭く、心血を注いで実践している職員です。仲間に本総会の内容を伝え、励まし、明日への糧にしていきましょう。
 昨夜私は梁(ヤン)院長と懇談し、梁院長のたたかいの半生に、民医連の原点を見る思いでした。韓国・緑色(グリーン)病院との交流は、アジア民衆の新た な連帯を築くと思います。それは、辺野古連帯支援のように、平和と民主主義を学ぶ新たな民医連学校になるでしょう。

(民医連新聞 第1424号 2008年3月24日)

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