いのちと人権を守る

2008年6月2日

後期高齢者医療制度 「不服や!」と申し立て137人 石川民医連・社保協が呼びかけ 中止・撤廃まで何度でも

 後期高齢者医療制度に怒りが沸騰しています。保険料が天引きされた四月一五日、「天引きはおかしい」「強制加入は憲法違反」など、石川県で一三七人が集団で不服審査請求書を提出しました。(横山 健記者)

 石川県庁に高齢者や代理人など六二人が集まり、一人ひとりが担当者に申請書を手渡しました。全 国に先駆けての不服審査請求の集団申請でした。 「年寄り差別の制度」「四月に入るのは二~三月分の年金。そこから四~五月分の保険料を天引きするのはおかしい」と考えていた高齢者の心に火がつきまし た。
 これだけの人数が集まったのは「それだけひどい制度」、とりまとめ役の石川社保協の寺越博之さんの意見です。

負担は増える一方

 インタビューの申し入れに五月一六日、友の会班会や所用の合間を縫って、不服申請した七人が集まりました。地域の友の会員さんです。
 「黙っとれん」「ガマンも限界やが」「おそらく却下されるやろうけど、何度でも申請できる。運動も広げんと」。怒りの声をあげました。
 福原孝一さんは妻と二人暮らし、国保料は二人で六〇〇〇円でした。しかし四月一五日、年金から福原さんの保険料、月額八五〇〇円が天引きされました。し かも後期高齢者ではない妻は、福原さんの扶養家族として月三〇〇〇円の国保料が徴収されました。福原さんは「負担は二倍近く。国保から切り離しておいて、 年金の少ない妻は扶養家族扱いで高い保険料。矛盾している」と憤りました。
 泉博さんの妻は、障害手帳を持っているため、非課税でした。しかし今度から七〇〇〇円の保険料が取られることに。「これまで控除などで自己負担ゼロやった。ひどい制度」と。
 荒能金一さんは「障害を持つ友人は、説明もほとんどなく後期高齢者医療制度に移行になった。入院時の自己負担の限度は一万五〇〇〇円やったが、四月から は一万五〇〇〇円を超えた部分が負担に。医療費負担も増えて困っている」と友人の苦境を代弁しました。

高齢者パワーで撤廃

 この行動を呼びかけたのは、石川民医連と石川社保協です。一月の学習会で、大阪の「介護保険料に怒る一揆の会」集団不服審査請求のとりくみを学び、集団申請を決めました。
 まず、わかりやすい呼びかけ文をつくりました。「中止・撤廃だけの硬い言葉では響かない」と「長生きを喜べない社会で良いのでしょうか」をスローガン に。また、班会などで学習会を開き、制度の問題点を知らせ「不服審査請求をしよう」と訴えました。
 寺越さんは「三〇~四〇人も集まればいいと思っていたが、うれしい結果。当事者の高齢者が力を発揮しはじめた。私たちはサポーターとして制度を知らせ、運動を広げること」と語りました。
 「この問題で日本人の意識も変わる」と語るのは、深井勤さん。「この制度は、日本人の敬老意識を崩壊させる。国が切り捨てる高齢者を若者が大切にするは ずがない」。片岡登志雄さんも「私たちは苦労して保険料を納めている。若い人が『年寄りも出して当たり前』と思うように世論誘導されたら怖い。若い人も生 活が苦しいはず。高齢者の生活も知って、いっしょに変えよう、と連帯できれば社会は変わる」と、期待を込めました。
 怒りの高齢者パワーは、中止・撤廃に向け、広がる気配です。

(民医連新聞 第1429号 2008年6月2日)

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