民医連新聞

2006年4月3日

地域に知らせ怒り広げて 医療改悪「改革」ゆるさない 各地のとりくみ

 医療関連法案は4月から本格的に審議入り。高齢者の窓口負担を2割、3割に、療養病床23万床を削減、「混合診療」を拡大、保険証1枚では医者に 行けなくなる「医療改革」に、怒りが広がっています。「チラシを渡すと食い入るように見ている。一気に知らせ反撃を」と各地で行動が。待合室や街頭で、共 同組織とともに地域で、諸団体に申し入れ、集会を開催など、署名も広げています。

友の会と共に署名用紙を診療圏全戸に配る

 東京・桐ヶ丘団地診療所では三月二二日、健康友の会(会員約六〇〇世 帯)といっしょに、診療圏の約五〇〇〇世帯に、医療改悪反対と看護改善を求める署名を、訴え文と返信用封筒を同封して配りました。法人の健康文化会の「診 療圏ごとに、共同組織と協力してとりくもう」という提起に応えました。地域の高齢化は激しく、六五歳以上が七割、医療費の問題は切実です。数年前に高齢者 負担が一割に引き上がる際、同様のとりくみで約一六〇〇人分の署名が戻ってきた経験があります。

 友の会では、この行動の前に、社保協のDVD「許すな! 医療改悪 大増税」で学習会を二回しています。見た感想は「手をかけないで人を殺すような改悪 だ」。「まだ多くの人がこの内容を知らず、実際にお金を支払う段になって気づく」という意見もあり「早く知らせることが重要」と、三日間かけて袋詰め作業 をし、準備しました。

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 当日、待合室には、友の会員さん約一〇人、診療所と法人の職員約一〇人が集合。平本厚事務長の指示で、一〇〇部、二〇〇部を手に地域に散りました。

 友の会員の志賀穂子さんは、配布中に会った八〇代の男性と話になりました。「反対しても変わらない」という男性に「本当に困る私たちが声を上げなくては」と訴え、返送を約束してもらいました。

 行動後、友の会事務所では、「繰り返して学習が必要」「医薬品の価格など改善提案も示したチラシがあるといいね」「せっかく配ったのだから、今回の行動 だけに終わらせず、ハンドマイク宣伝や電話かけもしたらいいね」など、話が続きました。

労使120人で地域デモ 署名集めにもとりくむ

 代々木病院では、三月一六日、労使共闘として代々木病院、歯科、診療所、外苑企画から一二〇人の職員が参加して、医療・看護・憲法の改悪阻止と要求実現決起集会&地域デモを行いました。職員自身が医療改悪のたたかいにたちあがり、改悪の実態を地域にアピールしようというねらいです。

 デモは、なにかいつもと違ったことをしよう、と話し合って初企画。「医療改悪許すな」看護師の大幅増員を」「憲法改悪反対」を訴えながら、住宅街や大通りを行進しました。

 同院では一月に、労組・友の会・病院で医療改悪の闘争本部をつくりました。職場でのビデオやパンフレット学習もすすめています。

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 二二日には、地域社保協で渋谷区議会を訪問し、医療改悪をやめるよう、国に「意見書」をあげてほしい、と要請も行いました。夕方には署名と返信用封筒を携え、近隣のお宅全てを訪問。職員と友の会員七人で三〇人と話しました。

 「病床が削減されると先が本当に不安」と話す人、「自民党支持だが、この署名は支持する」と、家にまで上げてくれた高齢者も。商店主は「今でも医療費が 高いのになあ」と、従業員からも集める、と署名用紙を預かってくれました。通りすがりで署名に応じてくれる人までいました。組織広報部の嘉瀬秀治主任は、 「全体としては改悪のあることさえまだ知られていない感じ。もっと地域に知らせたい」と話していました。

「弱きをたすけ強きをくじく 県民のつどい」に1100人参加

 奈良民医連は、保険医協会、 奈良労連、県社保協とともに、三月一五日夜「県民のつどい」を開きました。「社会保障の後退を許さない」意思を示す目的です。「思い切って広範な層に呼び かけよう」と申し合わせ、開催に先立ち、県内の六八病院、介護施設、老人クラブなどを手分けして回り、協力を要請。県医師会長とは初めて面談、「怒り心 頭」の思いを共有しました。

 また「署名付きリーフ」三三万部を新聞に折り込みました。三〇〇通が返送され、半分に切実な声が記入されており、集会で紹介しました。

 当日は、歯科医師会・県看護協会・生駒市長からメッセージが寄せられ、会場付近の住人や無党派の議員も含め、一一〇〇人が集まりました。うち民医連の仲 間は五八七人。看護師たちは夕刻に白衣で宣伝を終えて参加しました。岡谷会からは「勤務者以外は全員行こう」と二八一人が参加。

 企画は経済評論家の佐高信さんの講演と、医師・看護師・患者・障害者のリレートーク。「人ごとではない」の感想が多数でした。ロビーでの健康チェック、 医療・介護・年金・税金の相談コーナーも好評でした。集会の成功は、世論の状況が急速に変わってきたことを示します。

(百上宜明(ももがみよしあき)、県連事務局)

中央社保協が改悪反対交流会―療養病棟が危機に

 国会議員に対する要請や国会周辺での集会などがとりくまれています。三月一五日は、中央社保協が「医療改悪反対活動交流集会」を開き、一三〇人が参加し ました。崩壊が始まっている地域医療の実態、診療報酬引き下げに対する怒りの広がり、自治体への働きかけ、など発言がありました。

 北海道の田中博修さんは、「道内の療養病棟をもつ病院三一一に、医療改悪反対の団体署名を郵送したら、すぐに六〇通が返送されてきた」と、危機感の広が りをのべ、根室で起きている事態を報告しました。療養病棟をもつ唯一の病院(社会福祉法人付属、医療型三二床、介護型四三床)が三月末の閉院を決め、職員 に解雇を通告しました。病院側は室料居住費・食費の自己負担化のため稼働率が落ち、医師・看護師の基準を満たせないと説明。地元紙は「医療制度改革ひずみ くっきり」の見出しで、介護型に移行した病院が犠牲になった、と報じました。「根室の医療を守る連絡会」は集会・署名で存続を求めています。

 宮城では、「医療改悪に反対する意見を国に出してほしい」との要請を全自治体に郵送、出したとの返事を得ています。群馬、長野からは老人クラブを訪問し 署名を広げています。 京都から議員要請に来た渡辺正志さん(介護福祉士)と外村晋一郎さん(事務)は、与党議員の秘書にそっけない対応をされ、「テレビ や選挙の時と態度が違うじゃないか」と憤慨。

 福井から来た看護師の石川優子さん、南部清美さんは「医療改悪は患者の生活をバッサリ切る人権問題。診療報酬改定でリハビリの対象外になった人は、家族 の一員に復帰する希望が断たれる。しかもそれを看護師に説明させる」と、怒りをぶつけました。

(民医連新聞 第1377号 2006年4月3日)

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