民医連新聞

2008年6月16日

フォーカス 私たちの実践 独自の「生活習慣病認定試験」に挑戦 ―大分健生病院 「生活習慣病」の療養指導 学習し、誰でもできる工夫

 職員みんなが、患者や組合員さんの療養や健康づくり指導ができるようになろう、と独自に「認定制度」を設け、学習している大分健生病院。看護師の荒井美代子さんの寄稿です。

 「生活習慣病」や「メタボリックシンドローム」という言葉が、最近は普通に使われるようになり ました。厚生労働省がいう「一に運動、二に食事、しっかり禁煙、最後に薬」には、「医療費の抑制」と「運動、食事、禁煙は自己責任」という意味が隠されて いるように感じられます。これに対して、私たちは医療生協らしい健康増進、病気予防に努めなければならないと考えています。

職員育成の一環に

 大分健生病院では、〇六年度から「生活習慣病」に焦点を当て、どの職員も同じレベルで患者指導 ができるよう、独自の認定制度を設け、認定試験を実施しました。制度の目的は、患者様や組合員さんに働きかけ、生活習慣を改善し、糖尿病、高脂血症、高血 圧を予防するためのマネージができる職員の育成です。対象は大分県医療生協の全職員です。受験日は毎月第三水曜日で、一三時三〇分~一五時と一八時~二〇 時の二回です。試験は筆記で、事前にビデオ学習を必要とします。問題は一四問。たとえば「生活習慣病のビデオを見て生活習慣病管理の要点を六〇〇字程度で 述べてください」や「食事は腹八分、日に一万歩くことが生活習慣病予防の秘訣といわれています。これを減量の点から科学的に説明してください」などです。 試験の後には、医師が正解について説明します。
 合格者には認定証と認定シールが渡されます。実施一年半で認定率は、健生病院職員一七五人中一五九人(九一%)。看護部一一四人中では八三人(七三%)です。

学び続ける大切さ

 外来スタッフは、常勤看護師一〇人をはじめ、非常勤の看護師一〇人、事務二人、栄養士一人が全員合格しました。
 当院の外来には、一日平均二〇〇人の患者様が通院しています。そのうち約一三〇人が慢性疾患をもち、継続的な指導、治療が必要な人です。定期通院の患者 様一人ひとりに関わっていくことが課題になっています。また〇八年度からの「特定保健指導」で力を発揮することも課題です。
 そこで、外来スタッフに「生活習慣病認定試験について」アンケートを取りました。結果からは、「認定試験」が学習のチャンスとなり、意欲の向上につながったと考えられました。
 「認定試験があってもなくても、くり返し学習しなければ指導できるまでの理解にはならない」「認定試験も大事だが、患者といっしょにくり返し学習してい ける場が必要」「合格で終わりでなく、定期的な学習をしたほうがよい」などの意見がありました。
 また、「希望者や患者のニーズに応じ、ゆっくり話すゆとりがほしい」「普段の業務では話す余裕がないが、講義する機会があれば役立つ」との声もありました。

認定者の力生かす

 外来では、認定された看護師が実際に指導をする機会を、定期的につくることにしました。再度、養成講座を開き、誰もが同じ内容で指導ができるよう、患者向けスライドをつくりました。これは班会などでも使っています。
 今後は、もっと認定制度を組合員さんにもアピールし、認定者を活用する場が広がるように働きかけていきたいと思います。また、効果的な生活指導ができて いるかどうか、患者様の評価も得ながら、レベルの向上につなげていきたいと思います。

(民医連新聞 第1430号 2008年6月16日)

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ