民医連新聞

2008年7月7日

民医連 伝えよう つなげよう 看護 (9) 兵庫 尼崎生協病院 地域の看護力アップにも貢献カムバックナース・プログラム

 「カムバックナース・プログラム」は、潜在看護師の復職支援公開講座のこと。当院でネーミングしました。あちらこちらで活用され、ちょっとええ気 分です。看護師不足は常に起こっており、看護管理者を悩ませています。それでも毎年、体制を維持できるぐらいに新卒・既卒の看護師を確保できるのは、地道 な看護学生委員会の活動があればこそです。
 約一〇年前、「看対は、看護師でなんとかやれる」という判断と人件費削減から、看護学生担当事務の配置を廃止しました。

新築前に専任事務を

 ところが看護師確保をめぐる情勢は、〇六年診療報酬改定前後で大きく変化し、現在も争奪戦は熾 烈を極めています。当院は〇七年五月の病院新築移転が決定していました。病棟の再編成や7‥1看護体制の維持など考慮すると、〇七年は例年の三倍の確保目 標を持たなければならない状況になりました。
 そこで法人の看護師・助産師確保委員会(以下確保委員会)を〇六年七月に再開しました。同時に専任事務を配置し、つながり学生や退職した職員への働きか け、「看護師を紹介して」の宣伝、ホームページの充実などを実施しました。それでも目標は、遠く果てしないものに思えました。

理事会で約束

 そんなとき、法人理事会で全日本民医連の「看護が輝くために」のDVDも紹介し、看護問題を訴え、看護師紹介運動に協力を求めました。すると非常勤理事さんから意外な反応が。「そんな大変な職場に紹介でけへんわ」。
 その論議の中で「安心して就職してもらえるよう研修プログラムを検討します」と約束したことが、カムバックナース・プログラムのスタートになりました。
 病院管理会議では「入職してからでなく、まだの人も受けられる研修がええなあ」「復職支援だけやなく、地域の看護力アップを応援する方が医療生協らしいやん」などの意見もあり、不定期ですが計四回開きました。
 プログラムは、講義と実技、グループワークなど、毎回新しい企画を組み、当院の看護師はもちろん、各科の医師やコメディカル、県連内の認定看護師を講師に、多彩な内容になりました。

発想を実現に

 これまでに、のべ四九人が受講しました。複数回の参加も一一人と多いのが特徴です。企画が参加 者の要望(ニード)に合致していたこと、講師陣のあたたかな人柄にふれ、病院に好印象をもったことが参加者の感想からうかがえました。その後、常勤職員と して三人、非常勤として五人の採用につながりました。
 看護師確保の一大プロジェクトは進捗し、ほぼ目標をクリアして、新病院に引っ越すことができました。看護管理者の思いつきが専任事務の堅実な実務で実現、確保委員会が予算も含めてバックアップするという図式でした。
 とはいえ、ほっとしている間はありません。看護師確保という課題を共有できる専任事務職の存在は、看護管理者の女房役だと思っています。(冨永容子、総師長)

(民医連新聞 第1431号 2008年7月7日)

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ