副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2008年7月21日

副作用モニター情報〈292〉 筋弛緩剤テルネリン(塩酸チザニジン)と抗うつ剤デプロメール(フルボキサミン)の相互作用

 塩酸チザニジンとフルボキサミンの併用は、フルボキサミンが代謝酵素CYP1A2を阻害するため、塩酸チザニジンの血中濃度が上昇し、血圧低下な どの過量症状が出現する危険性があるとして、2004年に併用禁忌となりました。今回、本モニターに両剤併用による血圧低下が報告されたので、紹介しま す。
 【症例】50代女性。顔面神経麻痺(ベル麻痺)で入 院後、デプロメールを開始し1カ月後に退院。退院3カ月後、顔面神経痛のためテルネリン3㎎を併用。服用後、血圧77/42となり、1週間後も血圧は低め のままだったため、自己判断で、服用していた降圧剤ノルバスク(カルシウム拮抗剤)を中止した。その後の内科受診で血圧162/96であった。テルネリン 開始から14日経過した受診の際、デプロメールの相互作用に気づき、テルネリンを中止し、ノルバスクを再開した。

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 両剤の併用試験で、AUCが平均33倍、Cmaxが平均12倍と増加、半減期が平均3倍延長し、臨床薬理学検討において、収縮期血圧が平均35mmHg低下、拡張期血圧が平均20mmHg低下したと報告されています(有意)。
 本事例は、併用禁忌であるにもかかわらず、処方せんの監査、調剤時の監査、渡薬時の説明などの時点でチェック機能が働かず、防げなかったことが問題で す。これらの薬剤は、整形外科・精神神経科のように異なる医療機関や診療科で処方される可能性が高く、どちらかの薬剤が処方された際には、服用歴を点検 し、相互作用を必ずチェックすることが必要です。

(民医連新聞 第1432号 2008年7月21日)

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