民医連新聞

2008年9月15日

学び、交流した夏 医系学生のつどい

 この夏、学生たちのさまざまなつどいが行われました。講演、グループ討論、フィールドワークなどを通じて、どんな医療者になっていくかを考える機会となりました。

医学生のつどい

 八月一七~一九日、「第二九回民医連の医療と研修を考える医学生のつどい」を石川県で開きました。医学生一五五人、職員や共同組織を合わせ総勢四一四人が参加。今年のテーマは「地域~一人ひとりが安心して暮らせる地域をめざして~」。
 一日目は東北大学の日野秀逸(しゅういつ)教授が講演。日野教授は、社会科学の立場からみた地域とは何か、医療の実態などについて、熱く語りかけました。
 二日目はフィールドワーク。石川・富山二県の二六カ所で行いました。一人暮らしの高齢者宅を訪問し、地域の中で高齢者がどのように生活しているのかを聞 きとったり、民医連の水害救援活動や困難な相談の事例を職員やソーシャルワーカー、共同組織の方から聴きました。
 地域に出ることで人びとの暮らしと想いを知り、困難な立場の人に寄り添った医療が求められていることを知りました。また、医療者も安心して暮らせる地域 づくりを、地域の一員として、いっしょに行っていくことが大事だと感じました。
 最終日は三日間を振りかえり「地域の要求に応えられる医師になりたい」という想いを共有しました。
 閉会式では、実行委員長の医学生が低学年からお世話になっていた地元の共同組織の方を壇上に招き、感謝と決意の言葉をのべました。また、六年生一九人が 壇上で医師像を語りました。感きわまって涙を見せながら、「つどいを通して民医連が大好きになった!」の声。感動的なフィナーレでした。

歯学生のつどい

 八月九~一〇日、東京で開催されました。テーマは「信頼される歯科医師、信頼されない歯科医師」。
 講演はCOMLの辻本好子さん。患者が求めるのはコミュニケーションをはさんだ医療者との対等な関係で、マニュアル通りの説明だけでなく、相手の表情をよくみて「一言添える」気持ちを持ってほしいと強調。
 「意見をかわせる職場づくりを大切にしたチーム医療」「患者と向き合い患者の自立をささえる」「互いに成長し納得し合える医療」「言葉だけでないコミュ ニケーションを大切にする」など、大学ではできない学習・討論を経て、より良い歯科医師になりたいと感じることができました。

看護学生のつどい

★北海道★
「MSフェスタ2008」

 「医療や福祉に関わるさまざまな分野の学生とかかわり学びと交流を深める」ことを目的に、八月一~二日、開きました。四校から学生三八人、職員一六人が参加。
 最初に、看護師から地域医療の実態が報告されました。また、札幌病院友の会世話人の辻岡テル子さんに、後期高齢者医療制度の矛盾点や自分の保険料が上がった経験を語ってもらいました。
 午後からは高齢者や障害を抱える患者さん宅を訪問、生活実態調査を行いました。
 「あらためて年金や医療制度について考え、改正しなくてはいけない」などの感想が出されました。
(北海道勤医協、荻生剛毅)

★東北地協★
第二〇回T6ENC

 八月八~九日、岩手県つなぎ温泉で開催。学習では高齢者の医療費無料化を実現している「沢内村」のとりくみを学び、グループに分かれディスカッション。体験学習は、聴く姿勢のアプローチや障害者体験、とろみ食の試食を行い、現場に近い体験ができました。
 学生実行委員の斬新なアイデアと行動力によるレクリェーションや交流会で参加者の心も打ち解け、「Heart to Heart~心とこころの繋がりを~」のテーマのもと、無事終了することができました。
(鶴岡協立病院、井上ゆきえ)

★関東・甲信越地協★
第一八回NEF

 八月一〇日~一一日、群馬県水上温泉にて開催。学生一五一人、職員六五人が参加しました。スローガ ンは「心にきざめ群馬の旅。Humanrights is price-less」。講演は栗生楽泉園の元ハンセン病患者谺(こだま)雄二さん。ハンセン病の歴史を、未来の医療従事者への期待を込めて熱く語っても らいました。班討論では、講演を聞いて、自分たちの看護観を深める話し合いができました。
 二日目は分科会に分かれ学習会。学校ではなかなか学べない内容の発表でした。参加者から「実際参加してみると一泊二日はあっという間。もっと時間があっ たらいいのに」などの感想が出されました。(東京民医連事務局、岡﨑あずさ)

★東海・北陸地協★
第三回DANS

 八月二三~二四日、長良川スポーツプラザで開きました。今回のテーマは、「感じようLOVE&BOND考えよう私たちの未来予想図」。部分参加も含め参加者は八〇人近くになりました。
 講演で井岡大義(ひろみち)医師(元津医療生活協同組合白塚診療所所長)の話を聞き、SGDや各県別で分科会・レクリエーションを行いました。ふだんは できない看護観などの意見交換、体を使ったレクリエーションや運動会は好評でした。「来年も参加したい」という声もあり、学生たちは他県、他学校との交流 ができ充実した時間を過ごせたようです。
(みどり病院、田中文子)

★近畿地協★
第六回ENS

 八月一八~一九日に行われ、学生五六人、職員四七人が参加しました。今年のテーマは「縦と横=+(きずな)~笑来(しょうらい)の仲間たちへ~」。
 「貧困と格差社会」をテーマに、学生がフィールドワークなどで学んだことを発表しました。その後自立生活サポートセンターもやいの湯浅誠氏が講演。ネッ トカフェ難民が生まれた背景には、企業の行動様式が、社員の生活よりも企業の競争力を優先する方向に変化したことを指摘しました。
 学生からは「看護師をめざす学生として貧困の問題に目を向けていきたい」という感想が出されました。学校や県を超えた仲間づくりができた二日間でした。
(京都民医連事務局、戸崎みどり)

★中国・四国地協★
第五回DANS

 八月一六~一七日、学生七〇人、職員三九人の参加で開催。南国高知の暑さに負けないくらい、熱く盛り上がりました。
 今年は、「自由・平等って何だろう? ~今、私たちの思うこと~」をテーマに、高知市内の自由民権運動の史跡をフィールドワーク。「民権ばあさん」と呼 ばれる楠瀬喜多(くすのせきた)の婦人参政権獲得の闘いや植木枝盛の思想が、今の日本国憲法の中に生きていることを学びました。また、あまりにも個人が尊 重されない現在、私たちは本当に「自由で平等」なのかと、グループで話し合いました。
 「民医連看護師としてともに働ける日を心待ちにしています」とあいさつする現地看護学生委員長の目に涙がキラリと光りました。
(高知生協病院、片山由美)

★九州・沖縄地協★
DANS「JEWL」

 八月一九~二〇日、熊本で開催されました。学生四七人、職員三一人が参加しました。テーマは「看護 と人権」で、国立療養所菊池恵楓園(けいふうえん)を訪問し、ハンセン病について学びました。「その時代に生まれ知識がなかったら、自分も差別していたか もしれないと思うと怖い」「歴史を忘れないで後世に伝えていくことが必要」という感想が出されました。
 交流会や熊本城ウォークラリーでは、学生やスタッフの交流ができ、学べて楽しんだ充実した二日間となりました。
(鹿児島生協病院、谷口順子)

(民医連新聞 第1436号 2008年9月15日)

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