民医連新聞

2008年10月6日

全日本民医連 第18回 歯科学術・運動交流集会ひらく 患者と歩む歯科実践もち寄る

 神奈川県で九月一三~一四日、第一八回歯科学術・運動交流集会を行いました。全国から歯科医師や衛生士、技工士など三一四人が参加、各県連で経験した事例やとりくみを学び合いました。

 今回のテーマは「まっすぐな人権意識に磨きをかけ 守ろう命!活動に誇りを持ち次の一歩を踏み出そう」です。
 中村守実行委員長があいさつした後、江原雅博・全日本民医連歯科部長が、民医連歯科の歩みや署名の到達を紹介。「民医連歯科の発展の原動力は、患者さん や来院すらできない人びとの視点で考えること。無差別平等、共同組織や地域と歩む歯科をつくろう」と、呼びかけました。

患者・地域から学ぶ

 午後の七つの分科会で、一二七演題が発表され、参加者は熱心に耳を傾けました。
 岡山・玉島歯科診療所の陶山ひとみさん(歯科技工士)は、ある患者さんとの関わりから学んだことを報告しました。はじめは職場の症例検討会について「専 門用語が多く、理解できない」と消極的でした。その患者さんの補綴(ほてつ)(入れ歯や被せ物の総称)を任された時も「前に症例検討に出た人」でしたが、 覚えていませんでした。
 調べ直し、患者さんの事情や来院できず歯がボロボロになった背景を知り、勉強不足を痛感。「食べられる生活」を守る技工士の役割を再確認しました。気持 ちを込めて入れ歯をつくると、患者さんは「歯を見せて笑えるのはいい」と言ってくれ、喜びを分かち合えました。
 陶山さんは「民医連に来る前は『ただつくるだけ』だった。ここでは症例検討会などで、患者の主訴や生活環境、治療経過を学び、医療はチームワークという 原点に返ることができた。私は患者さんに近い技工士でありたい。患者さんの笑顔が何より報酬」と話しました。
 愛知・北生協歯科の中野友理子さん(歯科衛生士)は、組合員歯科健診のとりくみを発表。医科の日曜健診に合わせて実施。次回の予約もその場でとる工夫 で、「患者さんも増加傾向に。歯科健診を通し、地域に『おいしく食べ、長生きできるまちづくり』を広げたい」と語りました。

住民健診を広げよう

 二日目は、岩倉政城(まさき)・尚絅(しょうけい)学院大学女子短期大学部教授が記念講演。民医連歯科をささえるベテラン歯科医師を教え、民医連歯科の基礎をともに築いた人です。
 岩倉教授は「歯科に来る人は経済的に余裕のある人。低所得者や高齢者は受診できない」と指摘。自身の地域で住民を主人公にした保健活動など、幅広いとり くみを紹介。民医連歯科には、「もっと地域に出て学習を広げ、住民主体の歯科健診をつくろう。それが住民運動になるように、私たちは黒子として、求められ る水準を備え、勉強を怠らないようにしよう」と注文しました。
 二日間の感想を東京の木口祐子さん(事務)は「発表や講演を聞き、患者さんを主人公にした活動をいかにすすめるかという視点を学んだ」。群馬の豊田庸光 さん(歯科医師)は「陶山さんの発表が印象的だった。歯科医師として技工士さんの立場に立って考えた。二日間を通し、どう患者さまと接するかを学ぶことが できた」と感想を語りました。

(民医連新聞 第1437号 2008年10月6日)

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