いのちと人権を守る

2008年12月1日

子どもの無保険ひどい 各地で保険証勝ち取る

 「国民健康保険料が高くて払えない」ことを背景に三三万世帯以上に資格証明書(資格書)が発行されています。その中に義務教育中 の子どもが三万二九〇〇人近くもいることが明らかに。実質、無保険状態で乳幼児医療(助成)も受けられません。各県の民医連が「子どものいる世帯を資格書 にするな」と、運動や交渉を重ね、京都市、大阪市などでは資格書をやめ、保険証、短期保険証の発行を勝ち取っています。

北海道

電話・交渉で訴え子どもに保険証が

 室蘭市では小学生五人、中学生一人に資格書が発行されていました。
 一一月一〇日、室蘭診療所の市村博司事務長が国保課に電話。市側は「乳幼児助成が小学生まで拡大された。小学生五人は保険証を発行する。中学生の親と連 絡が取れない。相談があれば対応する」と回答。市村事務長は「市税や国保料を値上げし『払えないなら資格書』では生活に困っている家庭はつらい。早急な解 消を」と伝えました。
 一二日、地元紙が「中学生にも短期証交付した」ことが報じられました。

984人に保険証が

 札幌市では一一月七日、札幌社保協と道生健会が、「子どもの資格書発行の中止」を申し入れました。
 一一日、市長が記者会見で、一八歳未満に保険証を交付することを発表。九八四人の子どもに保険証が届くことになります。
(「共同デスク」より)

福 井

市や県と交渉 保険証出させる

 県民医連と社保協は、福井市と国保問題で交渉を続けてきました。市は九月に第三者委員会を設置。滞納理由や相談に乗り、短期証の発行に応じることに。
 また市では、一〇月から就学前、ひとり親の世帯、重度障がい者に短期証交付を決定。三一八人いた無保険の子ども(一八歳未満)は、二一五人に。
 一一月一二日、県に子どものいる世帯に保険証発行を求める要望書を提出。奧出春行事務局長は「子どもに責任はない。県が先頭に立って、市町村を指導してほしい」と訴えました。
(福井民医連)

山 口

二年越しの交渉で保険証勝ち取る

 七月、山陽小野田市と社保協の交渉の中で、無保険の子どもが昨年の八三人から、一二四人に増えていることがわかりました。無保険の子どもは医療機関にかかれないのが実態です。保険証の取り上げをやめるよう、強く要請しました。
 九月に入り、経過措置として短期証を発行。しかし窓口で受け取る方式で、取りに行けない親も多くいたため、再び市の担当者と面談。「長期滞納者は、返済 計画を迫られるため役所に行けない」と説明。訪問などで届ける手だてを取るように要請しました。
 その後、市議会で市長が、子どもには無条件で保険証を交付することを表明しました。
 現在、市から家庭訪問も行われるなど、二年越しの運動が大きな成果を生みました。今後も資格書を出させないなど、国保改善の運動を強めていく予定です。
  (山田直人 小野田診療所、事務長)

(民医連新聞 第1441号 2008年12月1日)

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