事業所のある風景

2006年11月15日

滋賀/デイサービスセンターほっこり 笑いあり涙あり 誰もが「ほっこり」できる場所づくり

日本家屋で生活リハビリ

 デイサービスセンターほっこりは、認知症の方がザワザワした中では落ち着かないことから、小規模でゆったりしてもらえる施設を作ろうと今年1月に開所しました。
 建物は、以前、膳所診療所の在宅患者さんのお宅だったところを改装し、使わせてもらっています。桐のたんすや欄間のある日本家屋で、利用者の方にとって 自宅を感じてもらえる環境の中で、洗濯物たたみから食事の盛り付け等すべてを「生活リハビリ」として、自然な時間の流れの中で行っています。できないこと ではなく、できること・できそうなことを職員や他の方と一緒にすることで、楽しく自信を持たれるようです。
 毎回同じ職員が対応することも安心につながるようで、職員もバタバタしそうになるところを、しぐさや話し方、食事のスピードにいたるところまで、ゆったりとした空気を乱さないような動きを心がけています。
 ある時はみなさんがそれぞれの結婚式の写真を持ち寄り大賑わいしました(もちろん職員の若かりし頃?の花嫁姿も)。プロポーズの言葉を覚えておられる方もあり、日々職員も一緒に笑ったり泣いたりしています。

今を楽しくその人らしく

 利用者は、アルツハイマー型、レビー小体型、前頭側頭葉型、脳血管性認知症の方がおられます。疾 患による症状はもちろんありますが、どのような人生を送ってこられたのか、性格、家族関係も大きく影響して様ざまです。どの方も「忘れていく」恐怖や「自 分が役にたたない」などつらい思いや死への不安を感じています。じっくりとその方の人生の輝いている時期に寄り添い、今を楽しくその人らしく、人のあたた かな輪の中ですごしてもらうこと、できないことや忘れてしまうことをさりげなく職員がお手伝いすることがケアのように思います。

家族ケアも重視

 ほっこりのもうひとつの大きな柱が、ご家族へのケアです。連絡帳をご家族との交換日記のように 使ったり、送迎時の家族の表情や言葉が気になったら、時間を作ってお話を聴いたりしています。ご家族は日々続く介護に悩み、疲れきっています。とはいえ言 いたいけど言えない思いもたくさんあります。思いを共有できる横のつながりを作ろうと「ほっこり家族の会」をつくりました。

ほっこりできる拠点に

 開所にあたり、友の会はじめ地域の方からあたたかな思いをいただき、日々あらゆる面において支え ていただいています。「ほっこり」だからこそ、デイサービスとしての使い方だけでなく、友の会の皆さんと一緒に地域の中で「ほっこりできる」拠点となるよ うな場所つくりを進めていきたいと思います。
 半年が過ぎ、日々職員の力量や質がためされることが多くなり、国や行政にも代弁者としての声も届け、小規模のマニュアル化しない柔軟さを生かしつつ、利 用者や家族の信頼、民医連の方針につねにたちかえり、奮闘していきたいと思います。

(滋賀・デイサービスセンターほっこり 生活相談員 林 智子)

「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2006年11月号.No.411より

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