事業所のある風景

2006年12月15日

北海道/協立すこやかクリニック 地域にとってかけがえのない診療所をめざして

地域要求に応え

 屈斜路湖の清流を源とする釧路川が湿原の中の蛇行をやめて、太平洋に注ぐ河口の近くに位置する道東勤医協釧路協立病院。その近接診療所として、協立すこ やかクリニックは2003年10月6日にオープンしました。日本最後の太平洋炭礦が閉山し、すっかり元気のない釧路市でも、人びとの暮らしは綿々と続いて います。小泉構造改革の中、北海道でも労働を奪われ、生活を破壊され、弱者がうち捨てられています。医師も看護師も都市部へ引き揚げ、命の綱であった医療 機関も縮小や閉鎖に直面しています。
 協立すこやかクリニックは、無差別・平等の医療を行う民医連診療所として、医療と介護、健康づくりや予防活動を重視した総合的複合的な医療展開を行い、 「健康でありつづけたい」「安心して暮らしたい」という地域住民や友の会員の医療・介護要求に応えるために3ヶ年計画で実現した道東勤医協4番目の診療所 です。

医療と介護の複合施設として

 診療所の患者は慢性疾患を中心とした定期受診が大半を占めていますが、病院・クリニック周辺の住民や友の会員など「かかりつけ」の医療機関としての再診 患者が多くなっています。医療分野は内科(消化器・循環器・呼吸器)の各専門外来を継続しています。待ち時間の少ない診療所めざして、予約外来の充実、 「療養外来」など、患者との共同で病気の進行を予防する療養支援を強化しています。高齢者の診療のなかに高齢者生活と介護を把握するケアマネジメントを取 り入れた外来を展開し、在宅介護サービスと医療ケアとの統合をはかっています。また労災・振動障害患者のリハビリ機能を診療所に持たせ、急性疾患から慢性 疾患まで総合的な医療を目ざす第一線の診療所として機能し、午前、夜間の一般内科と専門外来も行っています。
 健診分野では、成人病健診や企業健診など、友の会員や労働者への健康づくりをすすめ、健診と連動した成人病予防のシステム、予防支援のあり方を検討しています。
 介護、福祉分野では、市内で初めての診療所併設となる在宅介護支援センター・訪問看護ステーション・ヘルパーステーション・デイサービスを開設し、道東 勤医協の医療と福祉、介護のネットワークの機能が一層、地域の中で役割が高まっています。
 友の会と共同した医療の創造、友の会・地域にひらかれた運営として、設計段階から参加いただきました。また友の会ボランティアとの新たな共同が、何でも 安心して相談できるような診療所へと繋がるように展望しています。

星空を映す湿原に抱かれて

 釧路・根室地域は、自治体・公的医療機関や民間医療機関も大学からの医師派遣に頼っています。しかし、臨床研修が導入されて以降、道内3医科大学からの 派遣医の引き揚げが続き、医療機能の縮小や閉鎖が続いています。追い討ちをかける医療構造改革の中で、療養型病院の閉院など、医療過疎がいっそう深刻化し ています。
 道東勤医協の医師体制も、道民医連に結集して医師確保を進めていますが、地域医療を担う医師の不足は深刻です。けれども、阿寒・摩周・知床と連なる山々 や満点の星空を映す湿原に抱かれるメリットは何物にも代え難いものがあります。
 釧路で医療を志しませんか?

(北海道・協立すこやかクリニック 事務長 野原 秀樹)

「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2006年12月号.No.412より

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