副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2009年1月19日

副作用モニター情報〈302〉 メキシレチン(不整脈治療薬・糖尿病性神経痛緩和剤)の過敏症症候群に注意

 07年から08年のモニター報告に、メキシレチンの副作用として、薬剤性過敏症症候群(DIHS)2件と中毒性表皮壊死症(TEN)2件を含む薬疹等が8件寄せられています。

 〔症例1〕60代女性、糖尿病の既往歴なし。メキシレチン300mgを服用開始後、25日目 に発疹が出現。服用を中止し皮膚科受診、抗ヒスタミン剤などが処方される。中止後9日目、全身に発疹が出現。発熱、食欲低下、茶色尿、尿閉、口腔内乾燥も 伴う。12日目に再受診、プレドニゾロン10mgと塗り薬を処方される。いったん解熱したが、18日目に意識障害で救急搬入される。このとき高血糖 (BS:1310)で、全身にトマトを塗ったような重度の紅班、ウイルス抗体価の上昇も認められたことから、メキシレチンの副作用でDIHSと劇症I型糖 尿病が発症したと診断された(薬剤被害救済制度を申請中)。
 〔症例2〕40代男性。メキシレチン300mgを服用開始後62日目に、皮疹、発熱、白血球増 多、黄疸、肝機能値上昇があり、薬剤性肝障害の疑いで入院。翌日、同薬を中止。中止6日目、顔面の鱗屑、全身の紅班を認め、DIHSを疑い、プレドニゾロン30mgを開始。9日目、肝障害と紅班は改善傾向になったが、16日目も腎機能障害は持続。

*    *

 DIHSは、皮膚粘膜眼症候群(SJS)、TENと並ぶ重症型の薬疹です。通常の薬疹とは異なり、投与後2週間以上たって発症し (遅発性)、中止後も症状が進行し、多くは軽快までに1カ月以上を要します。発熱、全身の紅班、リンパ節腫脹、肝臓など多臓器の障害、血液検査値の異常、 ヒトヘルペスウイルス(HHV-6)の再活性化を起こし、アレルギー反応と免疫異常の複合した症状と考えられています。
 原因薬剤は比較的限られ、メキシレチンはその一つです。SJSやTENも起こすので、本剤を投与する時には、これらの発現に注意し、異常に気づいたら直ちに服用を中止し医師や薬剤師に相談するよう指導が必要です。
 また、中止後も症状が増悪する場合は、入院施設のある皮膚科専門医に紹介することが必要です。

(民医連新聞 第1444号 2009年1月19日)

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