民医連新聞

2006年5月22日

療養病床は必要 各地で病院訪問 院長の声きく

「療養病棟守れ」の団体署名は、五〇〇病院を超えました。各地で療養病床をもつ病院を訪問し、懇談がとりくまれ、「地域の医療にとって療養病床は必要」「経営が持たない」など、厚労省に対する怒りが噴出しています。

●待機者が増加

 【長野民医連】療養病床を持つ病院を訪問し、懇談しています。
 療養型施設連絡協議会長を務める病院長とも意見交換しました。「医療と介護が一体で対応できる場は必要。厚労省の朝令暮改のやり方に憤りを覚える。民医連の要請には賛成」と、団体署名に応じました。
 回復期リハと医療療養病棟をもつ病院では「全県から重症の患者を受け入れているが、四割が自宅に帰れない状態。療養病棟は三〇%減収」と話しました。ま た施設待機者について、「二〇〇二年六月には一〇四人だったが、〇六年三月には二三七人と倍以上になった」と、数値を示しました。「老健や特養の整備も必 要だが、そこでは医療と介護の両方を必要とする重症者は対応できない。その人たちにとって療養病床は必要」と深刻でした。
 昨年一〇月の居住費・食費自己負担で「やむなく家族が引き取った事例も。高額療養費の貸し付け利用者が倍加」とのことでした。
 さらに、一般病床と療養病床の混合病棟が今年九月末を期限に認められなくなる問題で、地域の小病院が危機的です。病床三五床の国保病院では「赤字、看護 師不足で存続の議論になるかも」と困惑していました。(平澤章、県連事務局)

●帰る家がない

 【愛媛民医連】当県連は、「療養 病棟を守ろう」の署名を県内の全病院に郵送しました。その上で四月一一日、新居浜協立病院の谷井実院長と事務長が、新居浜市内の療養病棟を持つ病院・診療 所六カ所を訪問し、院長と懇談。行く先ざきで、怒りの声を聞きました。「核家族化がすすむなか、一定の社会的入院を認めなかったら、地域の生活が成り立た ない」「政府は在宅へと言うが、帰るべき家がない、施設もない」など、患者・住民の実情にもとづく意見が出されました。
 また「大幅な減収に打つべき手がない」「夏以降、もっと事態は深刻になるのでは」「改築資金の返済もだいぶ残っている。やっていけるか」など病院経営についての不安も多く出されました。
 その場で団体署名に応じてくれたり、個人署名用紙を預かってくれるなど、協力的でした。(和木靖久、新居浜協立病院)

●減収の打撃大

 【新潟民医連】県社保協とともに、四月二八日、市内の療養病棟をもつ九病院を訪問し、事務長などと懇談しました。五病院が「療養病棟縮小・廃止反対の団体署名」に応じました。
 懇談では、「二年前に病院を新築した。借入金もあり、減収で困っている。どう対応したらよいか課題だ」「医療区分1が七割以上で、減収の打撃が大きい。 職員の一時金の見直しもありうる」「小泉首相の医療・社会保障のやり方はひどい」などの意見が出されました。(酢山省三、県連事務局)

(民医連新聞 第1380号 2006年5月22日)

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