民医連新聞

2006年6月5日

記者の駆け歩きレポート(3) 奈良民医連・土庫病院 先輩医師の熱意と研修医自身がつくる研修

 今回は、奈良・医師医学生担当者、天川英雄さんからの駆け歩きレポートです。

 二〇〇四年から始まった新医師臨床研修の必修化で、奈良民医連は土庫病院が「臨床研修指定病院(管理型)」を取得しました。「指導医体制の確保をし、 「プライマリケア能力の獲得」をめざしています。その結果、今年の三月、初期研修を修了した研修医六人全員が「将来も奈良のフィールドで医療活動を続け る」と、決意しました。今、専門科研修に一年目研修医の指導体制の役割(シニア)として元気にがんばっています。

 二年間の臨床研修を修了した〇四卒の研修医六人は、見違えるほどたくましくなりました。
 初期研修を終える段階で私たちの期待は、「これからも民医連医療を担う医師として研修を続けてもらいたい」ということです。研修医に意志を確認したとこ ろ、「引き続き奈良でがんばる」と。六人全員が決意しました。

奈良でがんばってほしい

 「生涯、奈良でがんばってほしい」。医師医学生担当者は、こう決意を促しました。医学生時代から「つどい」や実習を通して語り合い、「彼らのめざす医療 に一番近いのは奈良民医連のフィールドであり、初期研修の礎に立って専門性を身につける、後期研修を自分たちでつくり、まだまだ成長したいというビジョン をもっている」と、確信があったからです。
 奈良民医連の大きな課題は、指導医体制をどうつくるかでした。全医師会議を中心に医師研修について議論を重ね、奈良全体の医師体制を見直しました。指導 体制をつくるとして幹部医師の再配置を行い指導体制を行いました。
 土庫病院の医局は、医師医学生担当者と情報を常に共有してきました。仲間になる医学生や研修医たちの志望科や医療への思いを聞き取り、どう具体化していくかをいっしょに考えました。
 また、土庫病院プログラム管理委員会(研修委員会)には、担当事務や多職種も入り、院内の研修体制について議論し、改善を続けました。その中では、「屋 根瓦方式」指導体制など、「一〇年先を見越した医師養成」にとりくむ決意を共有しました。

研修医がつくる研修

 研修医が不安になるのは、「病棟などで相談できる先輩医師がそばにいないこと」です。土庫病院でも医師不足問題があり、指導医や先輩医師が外来に呼ばれ、病棟に研修医が残される場面も何度かありました。
 研修医は、「困った」と感じた問題をそのままにせず、週一回の研修医会議で出し、すぐ相談できる連絡体制を提案しました。すすみたい専門科や後期研修に ついても相談し合いました。「研修を自分でつくる」という土庫病院の研修スタイルができ上がってきました。研修委員会も研修医自身の思いを大切にした研修 プログラムの改善に努めました。
 〇四卒の水野渉医師は、第三七回総会で「私たちの研修をよいものにするため、先輩医師は熱心に指導してくれた」と、語りました。先輩医師の「研修医を育 てよう」という熱意に、「私たちも後輩医師の力になりたい」と、屋根瓦指導体制の役割を担います。「まだまだ不安もあります。しかし、自分がすすむ道に向 かって意見を出し、納得できる後期研修をつくりたい。後輩医師も続いてほしい。さらに良い研修ができるように話し合っていきたい」と。
 水野医師は、これから一年目研修医の相談役として、総合診療をいっしょに勉強していく予定です。また、医学生への働きかけにも協力する決意を語りました。

(民医連新聞 第1381号 2006年6月5日)

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