民医連新聞

2006年6月5日

看護もっと輝きたいの (15)看護職員確保 過去最高の新卒者確保で変化をつくったとりくみ-埼玉

 看護師確保はどの医療機関でも悩み大きい問題です。特に今回、7:1看護が診療報酬に導入され、病院の死活にかかわる課題に。医療生協さいたまでは昨年度、過去最高数の新卒者確保を実現しました。浦和民主診療所師長の酒井てるえさんの総会での発言内容から紹介します。

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 埼玉ではここ数年、新卒者確保は目標の七割ほどでした。今回、過去最高の到達を生んだ変化、活動の特徴が、五点ありました。
 一つ目は学習と討議です。県連の看護師長会議から各職場の部会まで、看護問題の学習を徹底しました。あわせて、確保の目標とその根拠をつくる活動を看護 師総会で確認、事務長会議にも周知を図りました。
 二つ目は体制の確立です。法人看護部保健看護課長を委員長に、課員二人を加えて、体制強化し、さらに埼玉協同病院の看学生委員長に副総看護師長を位置づ け、事務専任も配置、五人でとりくむ体制をつくりました。
 三つ目は学校訪問です。約一カ月で二〇都府県一〇八校、計画どおりやり切りました。訪問地域は埼玉県以北を中心に、法人役員ほぼ全員が参加、事務系幹部 と管理看護長のペアで訪問。ニュースで情報交換もしながら、民医連や医療生協の看護実践と優位性に確信をもって訴えました。
 四つ目は学生の要望をつかみながら、体験を取り入れるなど多様に説明会をとりくんだことです。
 保健師の体験コースでは、街角健康チェックに飛び入りし、好評だったことも。体験者には若手看護師がマンツーマンでつき、病院の看護長が面接にあたり、 気軽に話し、納得して帰ってもらおうと力を注ぎました。
 五つ目は総当たり行動です。〇五年五月から、三九〇〇人の「つながり名簿」で電話かけ、はがき出しを実施し、把握できない人がいなくなるまで続けた結果、資料請求数は前年度の一五〇%に増加。

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 活動を通じて、大切だと思った点は、確保をめぐる情報や学生の動向分析を徹底して行うこと、民医連看護を外部に広げるために、活動量と質を圧倒的に高めること。後継者確保が看護管理者にとって重要な課題、と認識することです。
 対応した学校の担当者がそろって注目したのが、すべての看護職員を対象に開始している「生涯教育キャリアアップラダー」でした。教育制度や、保健師や助 産師政策を、興味深く受け止めました。教育現場でも、学生の変化にとまどい、医療現場でどのように育つのか不安を持っていました。
 また、新卒者が職場に定着し、社会人として成長するための援助として、すべての管理看護長が、卒一、卒二年目職員の担当になりました。手紙を書いたり、 ケースレポートをチェックしたり、研究テーマのアドバイスなど、指導者や職場の看護長とは違う立場で援助する関係です。
 こうしたとりくみも、学校側にはインパクトがあり、後継者を育てる立場で共感しあえるように思いました。ますます困難が予測される今後の確保活動です が、こうした教育者、学校との連携強化を図っていくことが、これからの展望を切り開くために大変重要になる、と考えています。

(民医連新聞 第1381号 2006年6月5日)

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