民医連新聞

2006年6月19日

保険で良い歯科医療したい 歯科診療報酬削減問題で交流と交渉―全日本民医連

全日本民医連は「〇六年歯科診療報酬改定たたかいと対応のための交流集会」を五月二一日、東京で開催しました。今回の改定で、民医連歯科の四月実績は、 対前年比で▲(マイナス)九%以上でした。重症化予防で導入され、効果もあった歯周病メンテナンスの期限が二年になり、内容が制限されたことも大きな問題 です。

 集会には一九県連・四五事業所から七六人が参加。保険で良い歯科治療をするための運動と対応、現場や患者の声も出し合いました。

 全国保団連・竹田正史副会長が講演。「政府は今改定で、保険診療では経営が成り立たない歯科診療所を増やし、淘 汰し、自費・混合診療へ誘導をねらった」と指摘。「保険が使える歯科医療制度が、日本人の口腔の健康を世界トップ水準にした。これを守るためにたたかお う」と語りました。

 三事業所が事例報告。

■四年間の歯周病メンテナンスで、リンゴが食べられるほど改善した患者は、保険治療が二年間に制限され、困っている。「小泉改革の影響が口の中まで」と怒る患者もいる(東京・三ツ木診療所歯科)。

■改定前から歯周病メンテナンスをしていた患者が義歯を紛失。メンテ期間中は義歯製作が保険算定できないため、やむなくメンテを中止。歯周病メンテ期間中は歯痛で来院しても、処方・投薬が保険で認められないため、診療所が持ち出しにしている(東京・新松戸診療所歯科)。

■歯周病メンテナンスが毎月できないことに納得しない患者があり、トラブルに。厚労省通知も遅れ、充分説明できなかった(山梨・共立歯科センター)。

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 対応報告は四つ。「歯周病を重視した結果、メンテナンス患者が〇〇年の二〇〇人から一〇〇〇人前後に増加。工夫して治療計画の共有を強めている」(群馬・利根歯科診療所)。

 「メンテナンスは保険でやり、最低一年は保つ水準の治療を、と意思統一。また、職員総出でカルテ精査し、メンテナンス対象者を抽出。衛生士を中心に診療報酬を学習、制度の問題を患者に訴え、たたかいにつなぐ」(東京勤医会)。

 「改正前からのメンテナンス患者の治療は継続。期間中に再治療になった場合、持ち出しでも受療権を守る、と意思統一」(愛知・みなと歯科)。

 「文書提供で患者の関心は高まったが、作成に手がとられ処置時間が減少。診療の順延が増加。日当点も減った。医療改悪に耐えられる経営体質を築きたい」(岡山・水島歯科診療所)。

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 集会は、(1)たたかいにも対応にも、患者を第一に守る視点を優先、(2)民医連歯科「三つの転換」のさらなる実践、(3)治療計画の共有の強化、(4)「保険でメンテナンスを」の署名を、の方針を確認しました。

 翌二二日には、厚労省交渉と国会議員への要請を行いました。

(民医連新聞 第1382号 2006年6月19日)

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