副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2006年7月3日

副作用モニター情報〈248〉 パナルジンとの相互作用によるフェニトイン中毒

  〔症例〕60代男性。他院にて冠動脈バイパス術施行。 術後に症候性てんかんが発現し、アレビアチン錠(フェニトイン)100mg3錠/日が処方される。退院後、心臓カテーテル検査の目的で入院し、検査終了日 より再梗塞を予防する目的でパナルジン錠100mg2錠/日を開始した。この入院時のフェニトイン血中濃度は20.8µg/mlだった。6日後に退院した が、退院23日ごろより、食欲およびADL低下。6日を経過しても症状が改善しないため、再入院となる。再入院時のフェニトイン血中濃度が 40.8µg/mlと高値だった(パナルジンを併用して35日目)。フェニトイン中毒を疑い、アレビアチン錠を100mg/日に減量。10日後に症状が軽快した。減量後のフェニトイン血中濃度は、4日後:34.4µg/ml、16日後:7.9µg/ml、23日後:2.7µg/ml。

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  フェニトインは、主に肝臓の代謝酵素CYP2C19と2C19で代謝されます。パナルジンは、このうちCYP2C19を阻害することが知られており、フェニトインの血中濃度を高めるため、「併用注意」です。
  本例では当初、フェニトインの血中濃度は有効域(10~20µg/ml)のほぼ上限にコントロールされていましたが、パナルジンを追加したため、中毒域まで上昇したと考えられます。
  パナルジン(塩酸チクロピジン)は、脳血管障害や虚血性心疾患に広く用いられる薬剤です。フェニトイン服用中の患者に追加処方される機会も多くあり、充分に注意が必要です。

(民医連新聞 第1383号 2006年7月3日)

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