民医連新聞

2006年7月17日

「医師を増やせ」と社会に訴え医療崩壊に立ち向かおう 県連医師委員長会議が提起

 七月一~二日、全日本民医連は静岡県で、県連医師委員長会議を五年ぶりに開催しました。全国から一六六人(うち医師六四人)が参加しました。

 藤末衛医師部長が「会議の主題は、医師問題の打開であり、医療崩壊に立ち向かい、青年医師を育成すること。幅広く連帯してたたかう視点で議論を」とあいさつしました。

 埼玉県済生会栗橋病院副院長の本田宏さんが医師不足の問題で講演しました。「日本は、GDPに占める医療費割合 が先進七カ国中最低。国が三三%しか負担しないため(OECD平均は七三%)、自己負担が四五%と高い。また医師数も、人口比で先進七カ国中最低、世界で 六三位。OECD平均になるよう試算すると一二万人の医師が不足となる。医師数がOECD平均を上回る地域はない。だから医師の偏在ではなく、絶対数の不 足が問題」と指摘。日本の医療崩壊は「医療費と医師の不足が原因」と断言し、現場から運動を、と呼びかけました。

 馬渡耕史理事は、「勤務医の週労働は平均六三時間。週四八時間に減らすには約五万六〇〇〇人の医師が不足、と厚労省は発表しながら増やそうとしない」など、医師労働の実態を報告。山本公子副会長が看護改善大運動の経験を報告しました。

 また、阿部昭一名誉会長が「民医連の歴史と綱領」を講演しました。ほか指定報告は、北海道の大病院を中心とした 医療構想と医師養成、東京、岐阜、愛媛の中小病院の医療構想と医師養成、近畿地協の中低学年対策、宮崎民医連結成と医師養成、長野の退職を防ぎ医師増を続 けている経験でした。

 規模別分散会で、医師養成や県連医師委員会の役割などを深めました。

 最後に、藤末部長が、(1)医師増員運動を巻き起こす、(2)医療構想と医師養成を統一する、(3)青年医師に働きかける、(4)医学生の民主的な成長を大切にする、など課題をまとめました。医師増を求める運動とアピールを確認しました。


 

そして病院から医者がいなくなる…

~まともな医療と私たち医師の未来のため日本の医者を増やす運動を呼びかけます~

 「今年の目標は、精も根も尽き果てるような働き方をせずとも安全な医療が提供できること」
 これはある民間病院の女性医師が上司にあてた年賀状の一節です。
 今日も明日も私たち民医連の病院で診療活動をしているみなさん。
 今、病院から医師が消えています。地域から産婦人科、小児科などの医師が減っています。日本の勤務医は36時間働き続けたり、当直明けのまま手術に入っ たりということが常態化しています。みなさんも、眠い頭で処方を間違えそうになったりしたことはないでしょうか?
 研修医が相談したいときに指導医がいなかったり、指導の時間がとれず悩んでいる指導医もいます。
 中堅医師は朝から晩まで外来や検査・手術に追われ、病棟に顔を出す時間が取れず、消灯後の病室前で溜息をつくのです。
 このままでは働きすぎて倒れてしまうと思ったことはありませんか?
 OECD平均の65%しかいない日本の医師は、3.5倍の外来患者を診ています。一方で日本の医療費はGDP比先進国で最低ランクです。これは、どう考 えてもおかしい状況です。世界一と言われる日本の医療は病院勤務医の自己犠牲の上に成り立っているのです。私たちは、誰も犠牲にしたくないし犠牲になりた くありません。
 絶対的医師不足を解消し、病院勤務医を増やす以外に、この状況は打開できません。
 医師委員長会議に集った私たちは、日本の医療崩壊を食い止め、医者を増やすためのドクターウェーブ(仮称)実行委員会立ち上げをここに呼びかけます。み んなができることからやってみませんか?

運動方針(案)
○病院勤務医の実態を把握するためのアンケート調査を行います。
○病院勤務医・医療団体との懇談を行います。
○運動のネーミングを募集します(ex.抗議する医師団、スタンドアップ・ドクター、医者ふやしてねっと…)
○賛同者、参加者、呼びかけ人などを民医連内外で募集します。
○HPを立ち上げて幅広く呼びかけていきます。
○運動の主体者となるべく学習材料を提供し推進していきます。
○宣伝物(ポスター、リーフ、DVDなど)を作成し視覚的にも訴えかけます。
○メディア(地方紙・地方TV局など)へ積極的に発信していきます。

2006年7月2日 医師委員長会議ドクターウェーブ
(仮称)アピール起草委員会

(民医連新聞 第1384号 2006年7月17日)

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