民医連新聞

2009年7月6日

介護報酬・要介護認定・事業整備の3課題で交流 介護・たたかいと対応交流会ひらく

 介護保険制度がスタートして一〇年目。改定された介護報酬への対応や事業整備の課題を学び、現場からの制度改善を求める「たたかいの視点」を確認しようと、五月二八、二九の両日、全日本民医連の主催で交流集会が都内で開かれました。約二〇〇人が参加しました。

 集会では、林泰則・全日本民医連事務局次長が基調報告を行いました。「介護報酬が三%アップし たが、これまでの二回の報酬引き下げ分を取り戻すにはほど遠く、職員の待遇改善には結びつきにくいこと、利用者にとっては負担増になり、利用抑制から事業 者を経営悪化に追いやるものだ」と指摘。見直し前の認定が継続されることになった「経過措置」も、実際の運用は市町村まかせ。新しい認定結果を明らかにせ ず、「経過措置」を終了させるねらいがあると警鐘を鳴らしました。「利用者を守る」立場で現場から「新認定制度の実施中止」「認定制度の抜本的改善」を求 めようと呼びかけました。

法的整備を確実に

 全日本民医連介護・福祉部の小内浩さんが、「法的整備に対する基本的視点ととりくみの留意点」 について講演。介護報酬改定で加算項目が増えたことに伴い、事業者に自己責任を負わせる形で監査が強化されていると指摘。担当者まかせにせず、スタッフ全 員で法令遵守にとりくむことの重要性を強調しました。
 全日本民医連の介護・福祉部長・山田智医師が『2009 要介護認定制度ハンドブック』のポイントを解説。「新介護認定のねらいは、『軽度判定化』『介 護認定審査会の裁量の大幅縮小』だ」と批判しました。介護認定を不当に下げさせず、利用者を守るためのカギは主治医意見書です。作成の具体例を盛り込んだ ハンドブックの活用と普及を呼びかけ、「国のねらいに反証を出せるような実践を広げよう」と訴えました。

主治医意見書など学習

 三人が指定報告。大阪では、特別事業所取得に必要な主任介護支援専門員の研修制度が希望者の半 数程度に限定され、選定も不透明なものでした。県連では「希望者全員に研修を」と要請し、三年がかりで実現させたと報告。山形・虹の会は、県連の担当者と 各事業所責任者で計画的に自己点検と相互点検をすすめてきたことを報告。北海道は、介護事業所と診療所の合同で主治医意見書の学習会を三回開き、計一四〇 人が参加したことを紹介しました。
 分散会では、班ごとに経験を交流しました。ローカルルールや加算への対応、多職種との交流のしかたなど、活発な討論が続けられました。
 山田智部長はまとめで、介護保険一〇年の検証をすすめ、「“社会保障費を増やせ”を掲げ、利用者とともに歩む介護ウエーブを」と訴えました。


 ハンドブック(250円)とともに、山田智部長の講演をまとめたDVD『主治医意見書の書き方について』(所要20分、700円)の活用を。
【問い合わせ先】全日本民医連介護・福祉部

(民医連新聞 第1455号 2009年7月6日)

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