民医連新聞

2009年8月3日

介護“報酬改定”“認定見直し”で記者会見 「利用者に悪影響」

 四月に行われた介護報酬改定と、要介護認定の見直し。この二つが利用者にどのような影響を与えているか、全日本民医連はこの間調査してきた結果を、七月一六日に記者会見で発表しました。

 介護報酬改定(三%アップ)によって、利用するサービスの回数や内容は変わらないのに支給限度額を超え、利用を減らしたり中止するケースが多発しています。継続すると、自己負担が大幅に増えるからです。
 全国の民医連の事業所の四、五月分のケアプランを調べ、該当したのは二二〇件。四分の三が七五歳以上で、独居が四割。後期高齢者、重度、認知症、独居、 生活保護受給者に、利用抑制の問題が集中していることが判明しました。特に生活保護受給者は五割を占め、限度額を超えた分は保護費から出ないので、サービ スを減らすしかありません。
 「限度額を超えたため通所リハを中止し、元の閉じこもり生活に戻ってしまった」「サービスを減らせず、無理して月一万七〇〇〇円の自己負担を払っている生活保護受給者」などの事例が紹介されました。
 今回の改定は最初から利用者の視点が抜けていました。全日本民医連は、(1)支給限度額を大幅に引き上げ要介護5は限度を撤廃すること、(2)特定事業 所加算を利用料の算定から除外するなど、利用料の負担軽減をはかること、この二つを厚労省に要望する予定です。

ねらいは給付抑制

 新しい要介護認定については、実施前から「軽度の判定を増やすねらい」だと指摘されていましたが、その通りの事例が多数報告されました。
 結城康博・淑徳大学准教授の調査や各地の自治体の認定結果などを見ると、四月からの一次判定結果は、状態が変わっていないにもかかわらず、申請時の認定 と比べ約四割が軽度化し、二次判定で修正されても二~三割がやはり軽度化。特に、軽度の人がより軽度に判定されており、介護保険の対象外となる「非該当」 の判定も増加しています。
 二次判定をになう認定審査会でも問題が起きています。「審査の手間が増えノルマがこなせない」「審査資料も減らされ判定が難しくなった」「審査会の機能 や裁量が縮小し審査員から『意味がない』との声が上がっている」などの意見が寄せられています。
 認定調査上でも問題が。調査項目の削減や判定基準の見直しで「特記事項」の記入がより重要になったため、認定調査員の負担が増大しています。
 四月に厚労省の内部文書で明らかにされたように、今回の見直しのねらいは「介護給付費の抑制」。コンピュータープログラムを操作して軽度判定を簡単に増 やせ、介護報酬を上げてもその分軽度を増やして給付を抑制できるしくみも。
 この結果をもとに、「新しい認定制度は中止し元に戻すこと。またコンピュータ判定や認定区分を廃止し、利用者本人とケアマネジャーが協議して介護内容を決めていく方式に変えるべき」と提言しました。

(民医連新聞 第1457号 2009年8月3日)

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