民医連新聞

2009年9月7日

駆け歩きレポート(34) 夏やし うちのお風呂入ってや 京都・入浴ボランティア

 反貧困のとりくみが大きく広がり、民医連も各地でさまざまな支援活動にとりくんでいます。暑さが厳しい京都では、路上生活者にお風呂に入ってもらおうと、「入浴ボランティア」を行いました。(佐久 功記者)

「気持ちええで」

 さっぱりした顔で、お風呂場から男性が出てきました。ここは京都市南区にある上鳥羽デイサービスセンター。七月一九日の日曜日、民医連も加わる「連帯広場」実行委員会が、この場所で「入浴ボランティア」を実施しました。
 まず、来た人の血圧を測り、お風呂場へ。その後、炊き出しの冷やしうどんを食べてもらいました。また希望に応じて、さまざまな相談にものりました。
 「暑いから、入ってもすぐに汗をかく」「週に一度は銭湯に行っているからいい」など、中には「入らない」という人も。その人たちは炊き出しだけ食べ、仲間とゆったりしていました。
 「気持ちよかった」という男性。「京都市の中央保護所の風呂に入ったことがあるけど、狭いし、時間がなくてせわしない。ここはゆったり入れた」。京都駅 近くで寝泊まりしているというこの男性は、「下京福祉事務所では、毎日パンと牛乳を配ってる。休日の前には、まとめてもらえるよ」と、いろいろ語ってくれ ました。
 この日は二五人の男性の路上生活者が訪れ、ボランティアには一六人が参加、民医連からは五人が参加しました。

やってよかった

 血圧測定を担当したのは、京都民医連第二中央病院の石橋修医師(副院長)と片野里美看護師。 測ってみると一九〇台が二人も。受診をすすめましたが、一人は「半年に一度検診を受けている。薬は飲みたくない。自分の力で治したい」と強く主張しまし た。もう一人は後日同院を受診すると約束しました。
 「この間うちの病院には無保険の人が何人も来られたが、みな末期ガンで亡くなった。来た時には手遅れだった」という石橋医師。支援に積極的に参加しています。
 「やってよかった」。こう語るのは県連事務局次長の勘解由貢一さん。「みんなリラックスしていた。いつもは炊き出しが終わったら、スッと帰るのに。あん な表情なかなか見たことない。京都市から銭湯の入浴券をもらっても、遠慮があって使いづらいですから」とも話しました。九月の連休に、また行う予定です。

人として大切なこと

 お風呂を提供したのは、施設長の菱田國昭さん。ここは民医連の事業所ではありません。
 「支援活動は以前から知っていました。うちにはお風呂があるし、入ってもらったらどうかと前から思っていました。日曜日は休みだから、使ってもらってか まわないし。そこで、近くの九条診療所(民医連)に申し出たんです」と言います。「お風呂に入ることは、人として生きていく上で大切なこと」と考える菱田 さん。「年末年始も休みなので、どんどん使ってほしい」。

連帯ひろばで

 「連帯ひろば」は今年一月、民医連や労働組合などがつくった組織です。京都府全域でさまざまな支援・相談活動に月一回のペースでとりくみ、民医連の職員も延べ一〇〇人以上が参加しています。
 「ホームレスは自己責任。働きたくない人がなると思っていたが、間違いとわかった」と意識が変わった職員や、「日々の業務で疲れ果てていたが、支援に 行って元気になれた。民医連で働いている意味を取り戻した」という職員。支援する側にもいい影響を与えていると勘解由さん。
 いま実行委員会では、常設の相談事務所をつくろうという意見も出ています。七月の失業率は過去最悪の五・七%。こういったとりくみは、まだまだ必要です。

(民医連新聞 第1459号 2009年9月7日)

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