民医連新聞

2006年10月16日

分科会の演題報告から

 分科会では二五八演題が発表されました。民医連看護・介護の輝きを感じさせるものでした。中でも注目されたものを、いくつか紹介します。(編集部)

言葉を失った患者の意欲を引き出して

 東神戸病院からは、脳梗塞後の全失語の患者の看護について報告がありました。
 患者は、発語は「ハイ」のみで、文字の読解など言語コミュニケーションが不可能な状態でした。表情は硬く、人と視線を合わすことさえできず、リハビリにもなかなか出られませんでした。
 そこで看護師は、「はい」「いいえ」で表しやすく/絵カードを使う/ジェスチャー/タッチング、をとりいれ、温かい態度で、そばにいる時間を多く持つよう接し方を工夫しました。
 すると、患者には笑顔と、他者に意思を伝える意欲があらわれるようになりました。
 次に目標を、排泄の自立にすえました。終日オムツの状態から、援助を開始。日中五回のトイレ誘導を行ううち、看護師が、患者が尿意のある時に出していた サインをみつけ、入院から約二カ月で排泄が自立。患者は意欲も自信も取り戻しました。
 発表者の中原美津子看護師は「失語症があっても、患者の残存機能を活かしたコミュニケーションで意思疎通でき、ADLはあがる。失語症患者の援助には、 言語ではない患者のサインに目を留める感性と観察力が必要。看護師は障害を持つ患者が、その人らしさや生きる意欲を見出せるよう、援助する必要がある」 と、まとめました。

(民医連新聞 第1390号 2006年10月16日)

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